疲れ切ったとき、祖母のことばを思い出す
数年前から仕事がかなり忙しい。
年中繁忙期という感じで疲労は蓄積し続けていて、ちょっと溢れては強制休息。そこで疲労を少し減らしてはまた蓄積というサイクル。
一日中動いて疲れ切って、やっと布団に潜り込んだとき、私が小学生のときに亡くなった祖母のことばを思い出す。
寝るほど楽な世の中にゃ
起きて働くあほうあり
祖母は働きもので、子供の頃からたくさんのきょうだいの面倒をみたり、とても苦労したらしい。結婚してからも田んぼや畑仕事をしたり(農家だった)、味噌や蒟蒻、豆腐など作って売りに行ったり、機織りをしたり、着物を縫ったり、なんでも器用にこなし、明るく元気なスーパーおばあちゃんだった。
祖父は体が弱かったこともあり、祖母は目一杯働いていた。祖父は私が生まれる前に亡くなったので、それからも義両親の面倒をみながら働いていた。
毎日目一杯働いていた祖母は、眠る前によくこのことばをつぶやいていた。
寝るほど楽な世の中にゃ
起きて働くあほうあり
実ははっきりした意味がわかっていない。祖母亡き後もそのことばが忘れられず、母に意味を尋ねたが、母もはっきりわからないが「寝たら楽な夜中なのに、働いている人がいるなんて」という、泥棒に向けたことばなのではないか、と。
今では夜中に働く仕事もあるのでピンとこないが、昔のことばなので、当時は夜中に働く(動く)のは泥棒くらいだったのだろう。
寝るほど楽な世の中にゃ
起きて働くあほうあり
このことばとともに、一日働き切った祖母の、眠れることが本当に幸せだ、という満面の笑みを思い出し、私もなんだかにんまりしてしまうのだ。
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