実演を聴かないと何とも思わないピアノ曲

ディアベリ変奏曲はベートーヴェン最晩年の作品で、彼の最高傑作の一つだという評価を得ているように受け取られる。何を根拠にと問われると、怪しいのだけど、多分駄作だという評価を高名なセンセーがしているのを見たことがない。

しかし数多くのクラシック音楽を齧った人は、「ディアベリ変奏曲ってこれ何?」という感想を抱くのではないか? というのも自分もその一人だったから。
理由として考えられるのは、1)主題がダサい、2)第1変奏もダサい、3)メロディーで泣かすよりは音の組み合わせ、紡ぎ方でアッと言わせようとしている、各変奏一曲ごとの長さがかなり短い、が考えられる。

ショパンが大好き、というタイプのクラシックファンは、メロディーがあまり前面に出てこない曲は、苦手とするのではないか?これは現代音楽に対するアレルギー現象と通底する。
ディアベリの演奏の要は、歌わせ方ではなく、音の鳴らし方になる。かなり凝った音鳴らしをした場合、録音ではせいぜい半分くらいしか伝わらない。
と言うわけで、ディアベリが苦手だというピアノ愛好家は一度は凝った音出しをするピアニストのライブ、それも座席数500前後の小さいホールで行われるものに行く事をお勧めする。


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