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ジャックが豆の木・・・

『何急に呼び出して?』
『てかお前の家のその蔓は何?』
『どこまで伸びてんのそれ?』

俺はジャックに問いただしたんだよね
話を聞けば、昨日牝牛を売りに行く途中で
へんなやつに絡まれて
牛と不思議な豆とを交換したらしい

「母さんにめっちゃ怒られたよ」

そりゃ怒るよね。お前いくつか!?
そこそこ俺達、高学年だよね
物々交換にしてももう少し
等価交換できたはずなんだよな。

とはいえ・・・

「でも本当に不思議な豆の種だった」
『うん。現実がそれを物語る』

だって蔓が伸びているからね!
どこまで伸びているのかねこれ?
もう頂上みえないよね。
雲にささってないかあれ?

「きゃらを、一緒に登らないか?」

何を言い出したんだこいつ。
登るってどこまで
ちょっと見晴らしのいいところかな
せいぜい5mくらいだぜ

だけど、人が死にやすい高さって
3mくらいだったりすると
それは頭の方が重いからだよね
くるりと回転せず頭から落下して
首の骨折るんだよ

『登るってどこまで登るの?』
『これ高すぎるよね?』

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「いけるところまでいってみたい」
『いやま・・えっ・・えーーー』

行きたくないよね。
なんだろうその冒険心は
勇気と無謀は違うよね。
『そもそも登ったとして
 その先に何があるの?』


「きゃらをそういうところだ
 冒険の先に何があるかなんか考えて
 冒険してたらつまらないじゃないか」

それは正論だけども時と場合によるよね
これ落ちたら死ぬやつだよね

「考えてもみなよ」
『何を?』
「普通さ、牛と豆は交換しないだろう」
『うん』
「だけどしたんだよ」
『うん』
「それはさ、それだけ怪しい雰囲気だったから
 だから母親に叱られるの覚悟で交換した」
『そうか、単なる口車じゃないんだな』

「ああ、確信犯だ」

そうか、確信犯だったのか
そうだよな、天然な奴とはあまり
俺は人生を語れないのだけど、
あえての奴はなんとなくわかるんだよな。

「あると思わないか?何かがさ」
『うん。あるな』

なんとなくだけど納得してしまった。 
それから6時間くらい登っただろうか
確か色々登るか登らないかで2時間くらい
もめてたから。登り始めたのは
am10時くらいだったよな。
もう夕焼けじゃないか下を向くと怖いから
今まで見てこなかったけど
下を見たらえらいことなっているよ~

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『どうすんのよこれ?』
「どうするって?」
『上に着くころ夜になってるよ?』
「でも行くしかないっしょ」

そうだよな。引き返すわけにもいかないし
下手に進むことで引けなくなるパターン
それがこれだよね

仕方ないのでそのまま進んだ
さらに4時間くらいかな
もうすっかり夜だった
そして頂上までいって愕然としたよね

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『これ雲に刺さってないよね』
「うん。刺さってないね」
『渡れないよね』
「渡れないよね」
『こだまでしょうか?』
「いいえ、だれでも」
みすゞじゃねーーーー!!

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