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人事制度の改定や新制度導入、上手くいっていますか?

人事の経験が長く、管理職になってから、かなり転職をしていますが、大体のケース、転職後のミッションとして上層部から言われることが「人事制度の改定」です。

「人事制度を改定したばかりだけど、全然浸透しないので、制度の立て直しして欲しい」との要望が非常に多かったです。

人事制度の改定や新制度を導入したことで、社員のモチベーションが下がってしまった、組織力が下がっているというケースは少なくありません。

うちの会社も実は上手くいっていないかも、、と感じられている人事職の方には、是非お読みいただきたいです!

人事制度が上手くいっていない会社へ入社して、私がまず「人事」に尋ねることはいつも同じです。

「人事制度の改定の主体はどこですか?」

と聞いたところ、「ほぼ100%人事部」との回答。

この回答自体が上手くいかない最大の原因です。

正しくは主幹が人事、制度変更や導入の決定者及び主導していくのは、各本部の責任者です。制度の説明会などは人事が行いますが、浸透させていく責任者は各部・各課の責任者です。

最大の問題は、この認識を人事が役員、各部の責任者と擦り合わせていないということです。
このケース非常に多い!

そのため、組合や従業員から、制度についてのクレームや、改定内容を追及されるような場に立たされた各部の責任者が苦し紛れに言うことは、決まって「人事が決めたから」です。

そして、上長や所属長に訴えても、埒が明かないと諦めた質問者は、人事にクレームを言いに来る、というのが恒例のパターンです。

納得できない内容があっても、上司が話をすることでトーンダウンするケースが多いですが、上司が説明できず、人事に聞いてくれ、という態度を取ると大体のケース上司への不信感が増幅し、モチベーションダウンに繋がっていき、悪いケースはそれが組織力低下へと発展していきます。

次に聞く事は、

「新制度について、現場の意見を聞くような行動はしましたか?」



実は、人事制度で起こる問題として、人事が現場の状況を理解せず、思い込みで改定してしまったケース、かなり多いです。また、人事コンサルの意見を鵜呑みにして提案通りに改定案を作るということも。

または、社長のトップダウンが強い企業であれば、社長から人事が直に指示を受け、社長に言われたままの制度を作ってしまうケースもあります。

そのため、実際に従業員説明会の時点になって、「〇〇についてはどう考えましたか?」「〇〇の場合はどうしたらよいのでしょうか?」といった質問攻めにあり、現実的に機能しない状況に陥ってしまっている、事が散見されます。

そういった質問は、社員が人事に対して不信感を持つきっかけとなります。
社員にとっては、「人事=会社」ですので、人事に対しての不信感は、会社に対しての不信感となっていきます。

最後の質問は、

「従業員への説明はしっかりやりましたか?」



上手く言っていない組織であればあるほど、制度説明が疎かです。
だいたい、数人の社員に聞けば、説明をしっかり行っているのか否かはすぐに分かります。

人事からは、説明会を〇〇回やったから十分だ、説明会で何の質問も出なかったから社員は理解しているはずだ、と言われることもありますが、ただ実施すればよいということではなく、質問が出ないということは、理解できておらず質問が出てこなかった、質問したら人事評価に差し障るのではないかと不安だから質問をするのを諦めた、との声も聞く事が少なくありません。
そして後で組合に駆け込んだ、という結果になることも。

社員それぞれの考え方も理解度も違う中で、統一した制度を導入するので、全員に理解・納得してもらうのは不可能ですが、説明を丁寧にする、現場の状況からの意見については真摯に検討し回答をする、といった誠意のある対応を現場責任者と人事が協力して行っていくことが、社員からの信頼を損なわないことに繋がります。


これまで記載した3つの質問は、言うまでもない当たり前のことですが、実際にそれが出来ていない人事が多いというのが現実です。
実際に人事制度を改定した、新制度を導入したのに上手く現場に浸透できていない会社の人事の方は一度「当たり前」を見直してみられることをお薦めします。

本日も最後までお読みいただき有難うございました。


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