【書評】ツァラトゥストラ 100de名著

自分が何に悦びを感じるのか。それを問い続けること。一人一人の中にしか正解はない。

自分にどれだけ I'm OKをしてあげられるか。一つでも最高のI'm OKができれば、次も最高のI'm OKを創りたいと思える。自分の魂の弦が大きく揺さぶられることが一度でもあれば、もう一度この人生を人は選びたくなる。


神は死んだ。この世界で新しい物語が必要。人々がルサンチマンを乗り越えるため、自己肯定に向かうため、そのためにニーチェが創った物語が、永遠回帰、人は無限に自分の人生を歩むことになるという物語だ。ニーチェは最高に愛したルー・ザロメとの失恋でルサンチマンを生むのではなく、ともに語り合った悦びを宝物のようにして生きることを選んだ、そのための物語が、永遠回帰だ。

永遠回帰の物語の中で自己肯定できる人、それがニーチェが掲げた超人という概念だ。超人に至るためにニーチェは孤独に走ったけど、本当は哲学や芸術を語り合う友が欲しかったみたい。この本の著者、西研さんは、創造的であるためには、お互いに評価しない、互いに尋ね合うというグランドルールのもと、自分の生き方、価値観、芸術作品などについて語り合う場が必要と説く。でないとニーチェみたいに発狂しちゃうよね。

自分の負の生についての自己肯定は、「仕方ない」では物足りない。「これでいい」ではなく「これがいい」、「これを欲する」までいかなくてはルサンチマンは克服できないとニーチェは言う。運命愛が彼にとってもっとも内奥の本姓でたる。




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