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老犬と一緒に暮らして気づいた、たとえ健康じゃなくても長生きすることの意味

うちの実家には9月に20歳になるミニチュアダックスフントがいます。

10歳過ぎてから椎間板ヘルニアになってしまい、一時は歩くことすらままならず、このまま老いて死んでいくのかな...と思っていたら、自力で四足歩行できるようになったり、年齢のせいで再び下半身が動かしづらくなった後も前足だけで家の中をあっちこっち移動したり(ある意味強度の高い運動をしている成果なのか、かえって若々しくもなったり)と、しぶといやつです。

さすがにここ数ヶ月は自分で動くことが難しくなり、半ば寝たきりの要介護状態なのですが、先日父から「明らかに弱ってきた。夏は越せないかもしれない」との一報があり、「せめてもう一度だけでも会いたい(娘と会わせたい)」と急いで帰省して1週間ほど一緒に過ごしました。

結果、夏バテを克服したのか食欲・体重が戻り、一時期よりはだいぶ元気になりました。僕や娘(うちの犬にとっては姪っ子みたいなものか)が帰ってきたことで気合が入ったのかもしれません。

心の目をうるうるさせながら帰ってきた僕にとしては若干肩透かしにあったような気がしないでもないのですが、そんな老犬と1週間過ごす中で、最近ちょっとモヤモヤしてたことの答えの一端が見えた気がしたので、この機会に言語化しておきます。

もしかしたら大抵の人からは「そりゃそうでしょ」って思われる内容かもしれませんが、悪しからず。

平均寿命と健康寿命のギャップ期間にモヤモヤ

健康寿命ってご存知でしょうか?
平均的な人がピンピンで元気に生きられる期間のことです。

日本人の平均寿命が長いことはみなさんご存知でしょうが、その分平均寿命と健康寿命のギャップ期間が長いようで、年数にするとざっくり10年程度だそうです(画像は、わかりやすかったので、大正製薬さんのホームページからお借りしました)。

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必ずしも、この期間丸ごと寝たきり・要介護という数字ではないようなのですが、とは言え気になる数字です。

この数字自体は何年も前から知っていたのですが、何ヶ月か前に『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』という本(「老化は病気だ。だから治せる」という眉唾っぽい主張をハーバードの教授が科学的な知見をもとに展開する本。面白かった)の感想について知人と話している時に、ふとこの数字を思い出し、モヤモヤが始まりました。

そのモヤモヤは「健康寿命後の10年って生き続ける方が幸せなのだろうか?それとも寿命自体は短くとも健康寿命の終わりにピンピンコロリで死んでしまった方が幸せなのだろうか?」というもの。

どれだけ悩んでも答えが出ない類の問いなので、そっと胸の中にしまっておいたのですが、最近自分の体の老化(健康診断での身長の低下、心当たりのない謎の膝痛・突き指・足首痛など)を感じることが増えてきた身としては、何となく気になり続けていました。

本人が幸せかはやっぱりよくわからないけど、生きてるだけで周りが幸せになる(そういう人になれれば)

そんな中で迎えたこの1週間。思いがけない発見がありました。

おしっこのシートを変えたり、体をきれいに拭いてあげたり、夜中に眠れずに「ふーん」と鳴く老犬を気分転換に庭やリビングに連れて行ったり、白内障で目がよく見えない老犬の口元に食事を運んで噛みつかれたり...

両親を見てると、犬の介護も大変そうだな...と思ってしまうのですが、
一方で、この1週間、2人の様子を見てる限りは、どうやらそんなに負担でもないようにも見えるのです。むしろちょっと楽しんでるというか、母性・父性を発揮しているというか。

いつもより食欲が増してきたり、それに伴って体重が増えてきたり、あるいは自力で数分間おすわりができるようになったりといった変化を楽しんでいるようにも見えます。

うちの娘も、「ふーん」と鳴いて何かを要求する老犬のところに近寄っていって背中をさすってあげて、それで鳴き止むと得意そうな顔でこっちを見てきます。何なら「お父さんもなでなでしてあげな」とか言ってきます。赤ちゃんをあやしている感覚のようです。

そういう僕も、老犬が寝ながら手足をバタつかせると「夢の中ではまだ走り回ってるのかな?」などと想像して、微笑んでしまったりもします。

そんなこんなを経験して思うのは、
本人(犬)がどう思っているかはわからないけれど生き続けていてくれることで、周りが幸せになることもあるんだぁ
ということ。
(ガツガツと一生懸命食事する様子を見ていても、意思を持って生きようとしているのか、生存本能に生かされているのかはよくわからない)

もちろん愛されキャラの可愛い犬だからというのもあるのですが、年の取り方・家族との関わり方によっては、こういう風に見守られる老後(寿命と健康寿命のギャップイヤー)もあるんだなと考えさせられてしまいました。

老犬との1週間の生活で、何十年か先に自分がまさにその状況を迎えた時のために、チャーミングに年を取りたい・家族と接していきたいという、新しい人生の目標らしきものを与えてもらえました。

ありがとう、プチ!

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