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【3000文字チャレンジ】キンダン ノ トビラ

3000文字チャレンジ  第106弾 【冷蔵庫】

Twitterで仲良くさせてもらっているライターさん達が楽しそうに執筆しているのを見て、自分も参加したくなりました。よろしくお願いいたします。

冷蔵庫の中には食材だけではなく「情報」も一緒に詰まっていると思いませんか? 

「この家は経済的にどうなのか?」「 嗜好&思考は?」 など。冷蔵庫のトビラ一枚隔てて保存されているものは「家庭の縮図」ではないか…と感じることが多々あります。

勿論、それらの情報は家具や家電を通して垣間見ることも可能でしょう。ただ冷蔵庫の内部は日々「更新」されている分、リアルタイム感がより強い…というか個人的には生々しい感覚を覚えます。

例えば我が家、まだまだ現役である20年選手の冷蔵庫の中には、夫が単身赴任中ということもあり、そこまで多くの食材は入っていません。しかし子供達にはまだまだ教育費が掛かるので買い物をする時は基本「質より量(=値段の安さ)」を重視。スーパーのPB 商品を愛用し、卵や牛乳もお買い得品を狙って購入しています。赤札が付いている見切り品大好き(笑) 

切らすことの出来ないアイテムは「マスタード」&「タバスコ」。我が家は全員辛党なんです。そうそう、個人的な嗜好品である「金麦」も切らすことは出来ません(笑)

また「ちょっと給料日までキツいかな(汗)」という時と「よっしゃー‼️頑張った自分にご褒美♥️&家族におすそ分け!!」という時では冷蔵庫の中身はかなり違ってきます。

あ、どんな状況でも「金麦」は切らしませんが(苦笑)

対照的なのは私の実家です。健康を気にする80歳の両親の冷蔵庫は「量より質」。産地や製法にこだわり、野菜(出来るだけ国産)も多めにストックしています。更に母は人一倍几帳面なので、一目で「どこに何があるのか」がすぐに分かるような工夫をしています。(本当は見習った方がいいのでしょうね)

「たかが食材、されど食材」。冷蔵庫の内部がその家庭の事情を物語っている以上、それは赤の他人が勝手に開けてはいけない禁断の扉…

…と、いうことを、どうやって「あの子」に解ってもらえばよかったのか。

前置きが長くなりましたが、私の「冷蔵庫を見ると時々思い出すエピソード」をよかったら聞いて下さい。

長女が幼稚園の年中さんだった頃、アユちゃん(仮名)という仲の良い女の子がいました。

このぐらいの年齢になると、子供達は「親抜き(送り迎えのみ)」でお友達の家に遊びに行く機会が増えてくるようになります。アユちゃんもそんな感じで我が家に一人でやってきたのですが…。

「だいどころ、せまいね」リビングに入るやいなや子供ならではの正直な一言で私を引きつらせます。(まあ、本当に狭いんですけどね)

驚いたのはその直後でした。アユちゃんは冷蔵庫にツカツカと歩み寄り、何のためらいもなく,バンっと扉を思い切り開けるではありませんか!!!

はっ!? 

人間って思ってもみなかったことが起こると、脳の処理と現実が追い付かなくなるものですね。私は一瞬何が起きているのか分からなくなりました。アユちゃんは「ふ~ん」と言いながらすぐに扉を閉めましたが、私の開いた口はそう簡単に塞がりません。

「あ、アユちゃん、よそのうちの冷蔵庫は勝手に開けるもんじゃないよ」もしも長女がお友達の家で同じ事をしたら、私は最大級のカミナリを落としたでしょう。しかし相手はよその家の子供…必死に言葉を選びながら注意をしました。

そして、これ↓がアユちゃんの返事です。

「何で?」

へっ?「何で?」って言う!? こちらから言わせてもらえば「アナタの方が<何で>分かってくれないの!?」…だよ。世の中には理由付けが必要ないルールってあるよね?「モノを盗んではいけない」「人を傷つけてはいけない」ことに「何で?」とは言わないよね? これはどちらかと言えば「マナー」に分類されるけど、肌感覚で理解して欲しい…ということでは一緒だよね!?

…という気持ちが頭の中をグルグル回りましたが、私は幼稚園児に解ってもらえる言葉を最後までチョイスすることが出来ませんでした。その後、迎えに来たアユちゃんの親に報告することもできず(私には無理。出来る人います?)結局一人でモヤモヤするはめに…。

私は長女に「今まで行ったお友達の家で、勝手に冷蔵庫の扉を開けたことがあるかどうか」を確認。「ない」という返事を聞いた後に「これからもお友達の家でトイレ以外のトビラを開けるのは基本ダメ。冷蔵庫は絶対ダメ。これは理由抜きで分ってほしい」ということを伝えました。

もっともアユちゃんは「冷蔵庫を勝手に開けた」というだけで、我が家に対して何の実害ももたらしていません。お友達の中には長女のビーズのブレスレットをわざと切ってしまったり、目についたモノを何でも欲しがって駄々をこねた子もいたりして、そちらの方がよっぽど迷惑でしたからね。

しかし「冷蔵庫無断開閉」はあまりにもインパクトが強すぎて、私の記憶にしっかりと刻みこまれてしまいました。

そんなアユちゃん、どうやら他の家でも冷蔵庫の扉を勝手に開けていた模様。

「アユちゃんってさ、遊びに来た時、勝手に冷蔵庫を開けなかった?」と私に聞いてきたママ友さんがいたのです。アユちゃんはこの日、他にも色々やらかしたようで、ママ友さんはかなりエキサイトしながら私に話をしてくれました。

噂はこうやって広がるのでしょうね。そしてアユちゃんのママは、自分の娘が他人の家の冷蔵庫を開けていること、更にこんな風に言われていること、トドメは私がこうやってnoteのネタにしていること…なんて夢にも思っていないハズです。こわっ…。

 ※↑「オマエが言うか⁉️」…なんて突っ込まないでくださいね。

ではあの時、アユちゃんに何て言えば分かってもらえたのか…。執筆のついでに考えてみました。まだまだ半人前ライターではありますが、一応言葉を紡いで収入を得ている身。ならば今こそ15年前のリベンジをしてみようではないか‼️

①「そもそもよその家の冷蔵庫は開ける必要ないよね?」→なんかもう少し言葉が欲しい気がする。

②「『いやしい子』って思われちゃうよ」→個人的に『いやしい』って言葉を使うのは好きではないんですよね。更に家に帰ったアユちゃんが、お母さんに「⭕️⭕️ちゃんママから『いやしい』って言われたんだけど…」なんて色々省いて報告されたら大変。

③「おうちに帰ったら、アユちゃんのお母さんにこの話をして、『ママはわたしのやったことについてどう思う?』って聞いてごらん。それが答えだよ」→うわぁ、自分性格悪っ‼️ 

すいません、私…キブアップです。

今現在、小さなお子さんがいらっしゃる方は、いつか来るかもしれない「その日」の為に「やんわりと注意出来る&子供にも理解してもらえる言葉」を脳内にストックする事をオススメします。(…とはいうものの、冷蔵庫を勝手に開ける子なんて、そんなにいるのだろうか?)

話はちょっとズレますが、私の友人に「冷蔵庫の達人(?)」がいます。月イチでランチ会を行っているママ友さんグループの一人なのですが、彼女の冷蔵庫のスッキリ具合が半端ない!! 

初めて遊びに行った時に「冷蔵庫勝手に開けて、麦茶取っていいよ」と言われたので、お言葉に甘えて扉を開けたら、冷蔵庫の中は超スッキリ!!

…ていうか、この場合「ほとんど何もない」という方が正しいでしょう。

実は彼女の家、徒歩でスーパーに簡単に行ける場所に住んでいるのです。基本「買い置きはしない」主義。必要なモノを必要なだけしか買わず、私のように値引きの赤札が付いているから…という理由で無駄な買い物はしない人…。

そんな彼女は近所のスーパーを「大型冷蔵庫」と呼んでいます(笑)

もしも当時のアユちゃんが、彼女の家に遊びに来て、勝手に冷蔵庫を開けたらこんなことを言いそうですね。

「うわぁ、なんにもない! おばちゃんちビンボーなの!?」って…。

この言葉に対しては、私も一言返してみましょうか。

「あらあらアユちゃん、分かってないな~。冷蔵庫の奥の深さを」と…。

そんなアユちゃんはその後進学校に進み、今や立派な女子大生です。時が経つのは早いですね。えっと…ネタにしてごめんね。アユちゃん。