浄土教思想⑧
ブッダ入滅後、仏教教団は様々な部派に分裂した。そして紀元前後頃に大乗仏教が興った。大乗仏教と部派仏教の大きな違いは「現在、仏が存在することを認めるかどうか」である。大乗仏教は現在も他の世界に仏が存在するという「現在他方仏思想」を主張する。部派仏教では次に仏となるのは弥勒菩薩であると決まっているので成仏の可能性はないとされていたが、大乗仏教では次の仏が決まっているのはこの娑婆世界だけで、他の世界なら成仏できるとして成仏の可能性を認める。ブッダのようにすべてを救う菩薩であると称して、自分たちの教えは大きな乗り物「大乗」であると自称した。そして仏となるためには、全ての人を救うという誓願を発して修行していく必要があるという「菩薩思想」「大乗菩薩道」を打ち立てた。
阿弥陀仏はその大乗菩薩道を完遂し、現在も西の極楽社会にあるという「菩薩思想」「現在他方仏思想」の典型的な仏である。阿弥陀仏は独自の誓願、四十八願を立てて修行した結果、成仏して阿弥陀仏となった。浄土教とはその阿弥陀仏を信じ、その力「本願力」によって救済され、阿弥陀仏の浄土である極楽に往生することを目的とする教え、信仰である。浄土教を低く見る僧侶もいたがそれに反して高く評価する僧侶も現れて浄土教思想が整備されていった。その中のひとりである善導の教えが法然に受け継がれる。
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