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〈ツインレビュー〉優里「ドライフラワー」かナンバーガール「ZEGAN VS UNDERCOVER.」

下のAとBの文章は、優里「ドライフラワー」かナンバーガール「ZEGAN VS UNDERCOVER.」のレビューです。

A

結局のところ、圧倒的なフロントマンがいれば大抵のバンドサウンドは成り立つ。ドラムとベースが基礎工事なのは不問だとして(この曲の基礎工事が足りていないわけではない。むしろ、一般的な水準以上の仕事だろう)、建物の顔となるのはお台場のテレビ局にしても歌舞伎町の映画館にしても象徴的なオブジェクトなのであって。その出立ちだけで突き抜ける爽快さがここにはある。いみじくも、それは怒涛のように重ねられるバンドサウンドの中でますます前景化していくこととなる。


B

エレキギターの煌びやかなギターの音色に、在りし日の青春時代の思い出を重ねることから、一体いつになったら卒業できるのだろう。脳裏に染み付いた鮮明な記憶をたぐるリリックが、自分の実体験にトレースできるか否か。そんなことは、もはやこの曲の中では問題ですらない。コーラスで熱を帯びるバックと一層叙情的になるボーカルだけが、ただ悪戯に聞き手のイマジネーションを揺さぶる。再生が終わり、新種のアトラクションを体感した後のような心地いい倦怠感だけが、楽曲の中のリアルをもの語っている。青春はやはり一種の熱のようなものなのかもしれない。




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