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【足が速くなるための7つのステップ】

■ステップ1「強くなる」

走る際、地面を押すことでその反発により身体を前に進めます。この地面を押す能力をつけることで足が速くなりす。

具体的には、スクワットやデッドリフトなど重たい物を上に持ち上げるトレーニングを行うことが良いでしょう。
重たい物を"上に"移動させるためには、地面を"下"に押す必要があるからです。高校生以上であればこのようなトレーニングをどんどんしていきましょう。

まだ身体が出来ていない小中学生であれば、垂直跳びがオススメです。地面を"下"に押すことで"上に"跳ぶことができます。1回1回間を十分にあけながら全力で10回×2セット程度行うと良いでしょう。

これらのトレーニングにより垂直方向への力発揮ができるようになります。

以降のステップでそれを走る際の水平方向への力に変換していきます。

■ステップ2「より良く動く」

まず柔軟性がないと、ケガをしやすくなります。
特に股関節周りはよくストレッチを行いましょう。

また速く走るためには股関節や膝、足首を効率よく使う必要があります。どこかの動きが硬いと、他の部位に頼らざるを得ないため、出力も落ちます。パフォーマンスにもつながる部分です。

以下に走るために必要な可動域のストレッチ方法を載せていますので
参考にしてください。

〈腸腰筋ストレッチ〉


〈大腿四頭筋ストレッチ〉

〈中殿筋ストレッチ〉


■ステップ3 「重い物を押す」

タイヤなどの重い物を押すことは走る時の身体の前傾姿勢につながります。スプリントでは足で地面を押した反動を水平方向(前方向)に変換していく必要があります。

手でタイヤを前に押すことは、地面からの反動を体幹を通じて前方向に上手く伝える練習になります。壁を押しても良いでしょう。

ポイントは「脛と体幹をしっかりと前傾させる」ことです。また背中が反ったり、丸まったりしないように注意しましょう。体幹は一直線にすることで上手く力が伝導します。

陸上界ではこの壁を押しながら足を入れ替えるドリル(ウォールドリル)がとても有名です。

野球選手も足が速くなるために是非取り組んでみてください。


■ステップ4 「スキップ&ジャンプ」

足の速さはストライドとピッチで決まります。
ストライドは歩幅のことで、ピッチは回転数(入れ替えの速さ)です。

理想はストライドが長く、ピッチが速い走りです。

大きなスキップを行うことでストライドが長くなります。またラダーなどを用いて小刻みに動くことでピッチが速くなります。

またピッチを速くするためには地面と足が接地している時間を短く必要があります。

ジャンプトレーニングを行う際に、この接地時間を出来るだけ短く、かつ高く跳んだり遠く跳んだりしてみましょう。


実際にジャンプ力は足の速さと相関関係があると言われています。ジャンプ力が高い人の方が足が速いということです。


ステップ1,2で筋力や柔軟性を向上させて、ステップ3でその力を水平方向に変換する能力をつける。そしてステップ4では、より走りの特性に近いトレーニングを行っていきましょう。


■ステップ5 「負荷をかけたスプリント」

前回までのステップで水平方向への力をつけて、走りの特性に合わせたトレーニングを紹介しました。

ステップ5は、その走りに水平方向への負荷をかけていく『レジステッドスプリント』です。
例えば、そりを牽引したり、タイヤを引いたり、パラシュートを腰につけて走ったりがあります。

特に,そり牽引走(タイヤ引きでも代用可)は,加速局面の動作(体幹の角度,接地時間,水平方向への力発揮)と類似している所が多いことが報告されています。(Cronin, John, et al. Strength and Conditioning Journal. 2006 )


その中でも、加速局面(0-10m)のスピード向上に効果があり、野球の盗塁につながると考えられます。
(Zafeiridis A, et al. J Sports Med Phys Fitness. 2005 )

そり(タイヤ)の重さは体重の10%未満が良いとされています。
(Rumpf MC, et al. J Strength Cond Res. 2016)

例えば、体重70kgの選手であれば、7kg未満にしましょう。
軽自動車に使われているタイヤは1個約5kg、普通自動車のタイヤは1個8kg前後ですので、参考にしてください。

■ステップ6  「坂道を走る」

ステップ5で紹介した『レジステッドスプリント』の中に、この坂道を走ることが含まれています。

タイヤを引くスプリントより馴染みがあるのではないでしょうか?

坂道は垂直方向への要素も入っていますが、普通のスプリントよりも負荷をかけたトレーニングになります。

特に足を上げる際に使われる腸腰筋のトレーニングに効果的です。また地面をしっかりと押さないと前(斜め上)に進まないので、ステップ1のスクワットやステップ4のジャンプをした後に行うとより効果的と思われます。

勾配がキツい場合はより負荷が大きくなるので、短い距離で行いましょう。

■ステップ7 最大限の力で全力で走る

最後のステップは、「走る」ことです。
足が速くなるためにはやはり走らなければなりません。

そして、これが一番重要かもしれません。


ただし、今までのステップでその走るための準備や基礎を固めてこそ、この単純に「走る」というトレーニングが活きてきます。

ここまでのステップなしに、ただ走ることを繰り返していても効率が悪いでしょう。

もう一つ大事なポイントは、「しっかりと休息を取る」ということです。特に短距離スプリントでは、その一本に全力を注ぎます。全力を出した後、休息が短いと回復せずにエネルギーが不足した状態になります。その状態で次の一本を走ると前の一本より遅くなってしまいます。

距離は10mもしくは20mほどで良いでしょう。
1本1本の間は約1分くらいの休息を挟んでください。


以上7つが足が速くなるためのステップです。
ただ単に走る量を増やしても、速くはなりません。理論的に、そして科学的に行うことが重要です!

今回のことが少しでも役に立てれば幸いです👍



今後もこのnoteでは、これまで得た私の知識と経験をもとに皆様の野球のレベルをワンランク上げていきたいと思います。野球に関するトレーニング、身体のケア、ピッチングやバッティングのパフォーマンス向上などを科学的な知見をもとに発信していきますので、見逃さないためにもアカウントのフォローをお願いいたします!


矢部和樹(やべっち@野球トレーナー)

【活動】
・理学療法士(スポーツ整形外科勤務)
・中学硬式・高校野球部トレーナー
・公認野球指導者(U-15)
・バッティング研究(大学院修士)



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