バッティング指導紹介②”身体を開くな”とは?
こんにちは!野球トレーナーの矢部です。(Twitter /Instagram /TikTok)
今回もバッティング指導の風景・内容の紹介とともに
みなさんの役に立つ情報をお届けします。
利用者の要望
今回は中学2年生を指導しました。普段は硬式野球リーグに所属している選手ですが、
なかなかバッティングが向上しないとのことで受講されました。
指導者から「身体の開きが早い!」と注意されるので治したいという要望でした。
この”開き”に関してはよく指導されることかと思います。
なぜ開いてしまうのでしょうか?
開かないように意識するだけで治ると思いますか?
開くとはすなわち回転(回旋)するということですが、
よく考えてみてください。
身体を回転しないとスイングできませんよね?
前回の指導紹介①では、バッティングの構成は「並進と回転運動」とお伝えしました。
開かないと打てないのに、開くなと注意される。。。
矛盾していますよね?
一見すると矛盾しているように聞こえますが、
ここで身体の構造から紐解くと理解できるのです。
そもそも「身体を開くな」の”身体”ってどこでしょうか?
下半身?上半身?
下半身ってどこからどこまで?
身体の開きの正体
「身体の開きが早い」と指導されるときの”身体”とは
「胸」のことです。
専門的には「胸郭」と言います。
胸郭は、胸椎、肋骨、胸骨という骨から成り立つ部位のことですが
一般的には肋骨を意識するとわかりやすいと思います。
回転運動は、下半身すなわち骨盤から回旋し始めます。
(詳しくは、前回の指導紹介①下半身から回すとは?を参照してください)
この時に、一緒に胸郭まで回旋してしまうと「身体の開きが早い」ということになります。骨盤は回旋し始めているけど、胸郭の回旋はまだ始まっていない。
この状態が理想になります。
胸郭と骨盤は、一体して体幹と呼ばれる部位になりますが、
これらが一緒に回旋せずに捻れが起きることが重要です。
専門的には「捻転差」と呼ばれます。
胸郭と骨盤の捻れの差ですね。この差が大きければ大きいほど、その後のスイングが鋭くなります。そのため、「身体が早く開く」ことが悪だとされているのです。
捻転差に関しては、noteでプロ野球選手のバッティングフォーム解説とともに詳しく解説してあるので、また参考にしてみてください!
”身体”がどこなのか?が分からないと、勘違いして骨盤まで回旋させずにスイングを開始してしまうので、逆に「手打ち」の原因になってしまいます。
まとめると…
「身体の開きが早い」の”身体”とは胸郭のことであり、
スイング開始時に骨盤との捻れを作ることが重要です。
イメージでいうとこんな感じです。
体幹部分は胸郭と骨盤に分けられます。
上側がいわゆる上半身、下側が下半身というイメージで大丈夫です。
スイング開始時は、下半身から回転が始まりますから骨盤は回旋されます。
一方、上半身である胸郭の回旋は我慢するという感じです。
では、これは意識するだけで行えるものなのでしょうか?
もちろん意識や捻るイメージを持つだけでできる選手もいます。
ですが、そもそもこの捻転差を作るための「体幹を捻る柔軟性」がないと動作ができません。
胸郭と骨盤を捻るという身体の使い方の前段階である柔軟性を向上させる必要があります。パフォーマンスピラミッドの身体の使い方の下の部分ですね。
今回指導した選手も、その柔軟性が不足しているために骨盤とともに胸郭が回旋してしまい、「身体が早く開いて」いました。
開きが早いと先に回旋してしまっている分、最終的に回旋不足となったり、
腕やバッドヘッドが出てくるタイミングと合わず「インコースが詰まる」ことが多いです。
実際にこの選手も「インコースが苦手」とのことでした。
体幹回旋の柔軟性
体幹回旋の柔軟性に関しては、写真のように評価します。
膝をくっつけることで骨盤(下半身)が回旋しないようにし、胸郭だけを回旋させて
どのくらい捻ることができるかをみます。
上がBeforeですが、右方向に対して左方向への捻れが不足しているのがわかると思います。まさにスイング開始時の捻転差の方向ですね。
そしてストレッチを実施した下のAfterでは回旋の柔軟性が向上していることがわかると思います。軸もまっすぐキレイに回旋できていますね。
ストレッチはこちらを行いましたので参考にしてください。
このようなストレッチは私のInstagramにたくさん載せているのでまた見てみて下さい!
その後、胸郭の回旋エクササイズを行いました。
こちらは次回以降のnote・ブログで紹介したいと思います。
ストレッチやエクササイズ前後のスイングはこちらです。
捻転差が増加したことで、骨盤→胸郭とスムーズに回旋することができ、最後まで身体を回転させることができています。さらに、体重移動(並進運動)もしっかり伴って軸が安定したまま回旋できていますね。
ちなみに今回は、スイング自体の練習は一切しておりません。
柔軟性と身体の使い方のみにアプローチし、スイングが変化しました。
普段、自主練習として素振りをたくさん行うかと思いますが、
その時間を減らしてでもこのようなストレッチやエクササイズに充てることで
より一層素振りの効果が高くなると考えています。
最後に今回実施したストレッチやエクササイズ動画を編集したものを後日送らせていただきました。本人のやる気もupしたみたいで良かったです!
その場で指導したら終わりではなく、このようにアフターフォローもしっかり行うように心がけております!
いかがだったでしょうか?
「身体の開き」に対する「胸郭の柔軟性」の重要性が理解できましたでしょうか?
所属している野球チームではなかなかこのようなことを指導してくれる人はいないと思います。専門的な知識を持ったトレーナーだからこそできるアプローチです。
興味がある方は、ぜひ無料体験を受けてみて下さいね!
ご予約お待ちしております。
野球トレーナー矢部
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