二回試験対策

 二回試験についてはどのくらい勉強すればいいのかわからないという方や、過去問がないことから何をすればいいかわからないという方が多いと思います。そこで、私個人の経験をまとめてみました。あくまでも私個人の主観に基づくものですのでご留意ください。
 なお、私はB志望ですので、勉強量としては中程度だと思います。B志望で修習期間は有意義に使いたいものの二回試験も怖いので対策しておきたいという方にちょうどいいと思います。

民事裁判

使用した基本書等

白表紙
・新問題研究要件事実
・紛争類型別の要件事実
・事実摘示記載例集
・事例で考える民事事実認定

市販の書籍
・大島眞一『新版完全講義民事裁判実務の基礎』(平成30年・第2版・民事法研究会)
・大島眞一『続完全講義民事裁判実務の基礎』(令和3年・民事法研究会)
・岡口基一『要件事実問題集』(令和2年・第5版・商事法務)

勉強方法

要件事実
 民裁は、とにかく要件事実が大事だと思います。民裁の起案は、訴訟物の特定、主張整理、争点についての事実認定と進んでいきますが、それらは論理的につながりのある設問になっており、訴訟物を捉え損ねるとその後の設問で軒並み点数を失うことになりかねません。そこで、大島本を数回読み、直前に見返すことができるようにまとめていました。その上で、岡口本で演習をしました。岡口本は難易度が高いと思うのでできなくても気にしないでいいと思いますが、当事者の主張から訴訟物や要件事実を抽出する訓練を積んでおきたかったので利用していました。
 紛争類型別の要件事実(通称「類型別」)は研修所の考え方がまとまっており、起案をするにおいては押さえておく必要があるのですが、事実を具体的にどのように摘示すればいいのかわからないので、事実摘示記載例集と併せて使うと効率がいいと思います。もっとも、起案では類型別に載っていない攻撃防御方法が出てくることもあるので、初見の攻撃防御方法を見て焦りたくない人は大島本で対策しておく方がいいと思います。

事実認定
 通称「ジレカン」の判断枠組みに沿って起案する必要があるため、最初はジレカンを通読しました。もっとも、ジレカンはわかりづらい部分があり、特に処分証書という概念を判断枠組みに持ってくると第1類型との整合性が取れなくなり混乱を来す可能性がありあまりおすすめしません。
 事実認定における着眼点や動かし難い事実の抽出については、結局実践が一番ためになるので、即日起案や集合起案の復習をしたり、学習記録2を使うなどして演習をするといいと思います。

小問対策
 整理問や撤回問に関しては要件事実の勉強で十分です。要件事実の整理が複雑なものに関しては自分なりに思考過程を整理しておくとより安心だと思います。
 手続問に関しては、争点整理周辺の知識が問われることが多い印象ですが、司法試験のレベルで足りますし、実務修習で見ることも多い分野だと思うので、特段対策はしませんでした。実際、それで十分対応できたと思います。

刑事裁判

使用した基本書等

白表紙
・刑事事実認定ガイド

勉強方法

 刑事事実認定ガイドを複数回読むことと、即日起案や集合起案の復習をすることが大事だと思います。特に刑裁は同じテーマが聞かれることがあるので、間接事実をどのような観点で認定するのか、認定の方法はどうするかなどパターン化して自分の中で整理しておくといいと思います。

検察

使用した基本書等

白表紙
・終局処分起案の考え方

勉強方法

 多くの人が言っていることではありますが、とにかく終局処分起案の考え方に沿って起案をすることが大事です。したがって、終局処分起案の考え方を写経しましょう。
 もっとも、終局処分起案に書いていないことでも、即日起案や集合起案では比較的詳細な解説があるので、そこで教官から指摘されたこともしっかりと押さえておく必要があります。
 そこで、私は終局処分起案の考え方の項目ごとに留意点をまとめたノートを作り、それをひたすら頭に叩き込んでいました。
 それから、集合起案や二回試験では送致罪名と実際に起訴すべき罪名が異なるケースがあります。例えば、送致罪名が窃盗であったものの、記録を精査すると占有の帰属が被疑者にあり、横領で起訴すべきケースなどがあります。したがって、刑法各論の知識の復習が必須になります。受験期に使っていた基本書やまとめノートで十分だと思います。

民事弁護

使用した基本書等

白表紙
・民事保全
・民事執行
・民事弁護における立証活動
・民事弁護の手引き
・民事弁護実務の基礎〜はじめての和解条項〜

市販の書籍
・金子稔ほか著『実践演習民事弁護起案』(令和3年・日本加除出版株式会社)
・『新版完全講義民事裁判実務の基礎』(平成30年・第2版・民事法研究会)
・『続完全講義民事裁判実務の基礎』(令和3年・民事法研究会)

勉強方法

小問対策
 民事保全・執行は白表紙に書かれていることから出題されていると思います。したがって、白表紙を複数回読みました。
 立証活動に関しては、民事弁護における立証活動の28頁から116頁を読んで対策していました。これで十分だと思います。
 弁護士倫理については、緑本のうち主要な条文の解説を読んでいました。研修所から配られる懲戒事例集を見ておくと、複数の条文がどのように連関するのかわかるのでおすすめです。
起案対策
 集合起案では、答弁書起案と最終準備書面起案が出題されると思いますので、その復習が重要です。また、それだけでは演習量が足りないと感じたため、教官の経験者が書いている実践演習民事弁護起案を使って演習をしていました。

刑事弁護

使用した基本書等

白表紙
・刑事弁護の手引き
・みんなでつくるケースセオリー

市販の書籍
・刑事弁護の基礎知識

勉強方法

小問対策
 白表紙の刑事弁護の手引きは薄いので、刑事弁護の基礎知識を使って尋問における異議や身柄解放に関する知識のインプットをしていました。
想定弁論
 なんだかんだ書き方があるので、即日起案や集合起案の復習が大事です。みんなで作るケースセオリーは解答例こそないものの、書き方の指針が示されており参考になるので、通読するといいと思います。

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