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Outlaws got horses with their money.

たまさか40も半ばになって日ごとゲームに興じるとは思ってもみなかった。
時間が出来れば、寝る前の小一時間でログインすることもある。

「Red Dead Online」という西部開拓時代が舞台のオンラインゲームである。

冤罪で投獄されていたところを運良く救われて、仇討の片棒を担ぐ代わりに自由の身となった境遇だ。晴れて荒野を駆け回ることとなって、今や骨董を探し集めたり、ときには賞金首を追う。

そんな中で、少しばかり気になっていたことが1つあった。
荒野を駆けるに跨る愛馬について、である。

ゲームの始まり、いわゆるチュートリアルに「馬泥棒の誇り」というものがある。オンラインゲームの肝でもある見知らぬ誰かと協力して進めるというもので、はじめてプレイヤーは協力型のミッションをこなすことになる。

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とある依頼者から、盗まれた馬を取り戻してほしいと頼まれる内容だ。
が、そもそも取り戻す馬も何処からか盗んできたものか、あるいは馬泥棒そのものを手伝わされるような雰囲気もある。
ここで、建前として「取り戻してきた馬」を譲り受けて当面の愛馬となる。

釈然としなかったのは、この「出自の分からない馬」に命を預ける点だ。
荒野を駆ける無法者としては気が小さいことこの上なく申し訳ない限りだが、性分なので仕方がない。かくして生業を得て、ぼちぼちと目途もついてきたところで身銭を切ることにした。

とはいえ問題は、どの馬を選ぶかである。

なにせ品種だけで20種ほどあり、毛並みでも分かれてくる。
毛並み=色違いというだけならいいが、毛並みによって脚質の違いもある。
さらには雄と雌まで選べるのだ。

まだまだ私のランクが低いため全てを選べるわけでもないのだが、それでも組み合わせで数十といったところで、目を通すだけでも一苦労の有り様だ。
つい慎重になってしまい小一時間ほど過ぎたが、長く付き合う愛馬である。

あれこれと悩んで、数ある中からブルトン種とした。
かなりどっしり見えるが、たとえば小柄なモーガン種などは貧相に見えた。
ぱっと見のシルエットで選んだようなところもある。
大きめの頭は愛嬌もあり、足元がふさふさとしているのも悪くない。

フランスはブルトン地方の発祥が由来で、ケルト民が好んで選んだと云う。
体格が大きく体重もあることから安定した足取りに定評があり、気性の良さから軍馬としても使われるのだそうだ。

最後に毛並みでも大いに悩んだが鹿粕毛の牝馬に決めた。
あらためて「Rocinante」と名付ける。

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もちろんセルバンテスのドン・キホーテからだ。
なんとなく牡馬の名前という気もするが、そこは良しとした。

そんなわけで、銃に、服装に、ようやく愛馬も揃った。
どうやらイベントが始まり、収集家のランクも上がりやすいという。

寝る間も惜しんで、ということはないが今日も出来ればログインしよう。
きっとサーバーの何処かで鹿粕毛の愛馬が待ってくれている。

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