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【淘宝】淘宝(タオバオ)を使った個人輸入のすすめ

インターネットのおかげで世界が随分と近いものになったと言われてからだいぶ経つ2023年の今日この頃なのだけれども、おかげでこれまでできなかったことができるようになるのが当たり前のようになってきた。
ほんの40年前までは夢の近未来だったものが今ではうまい棒のように当たり前の存在になっているものは少なくないが、その一つがEコマースすなわち電子商取引だろう。
かつて電電公社がキャプテンシステムの利用例として宣伝していた時代では、パソコン通信で店にオーダーを出すだけで家に出前が届くという画期的な注文の仕方ができるというわけで、そいつはすごいなあ、でもほとんどの店がパソコンと音響カプラとキャプテンシステムを備えないと実現できないし、電話代だって馬鹿にならないからそんなものは「結局来なかった明るい未来」の一つになってしまうんじゃないかと40年前ヒネくれた子供だった私は考えていたもんだ。
ところがパソコンとパソコンを使った通信手段がインターネットという廉価で汎用性が高く、誰でも参入できる「当たり前のもの」になってからは、Amazonという巨大企業が世界を操るまでになった。
40年前から見ると、2023年は間違いなく夢の近未来なのである。

ではインターネットが買い物にとって大きなメリットとなっているのは何か?
それは需要と供給をダイレクトにマッチングさせるはたらきだろうと思う。
売買とは何かを売りたい人とそれを買いたい人によって成立する行為だが、「売りたいもの」を買いたい人が世界に3人しかいないのではビジネスとして成立しない。
売り手がその3人に出会うまで生涯に近い時間を費やす必要があるからだ。
これまでの売買取引は実際の店舗で現物を見てというものが殆どであったが、そのためには店舗は店を構えるコストと在庫を積むコストを負担して店を構えなければならない。
また商品の製造者も星の数ほどある小売店に供給するためには中間の代理店や問屋を経由し小売のための流通網を構築する必要がある。
加えて店舗には売れないものを置いておく余裕などないので、市場に流通するものはどうしても消費者の大多数に少なくとも拒絶されない平均的なものが志向されがちで、マニア向けで面白みのある、つまりは世の中に3人しか欲しい人がいないような商品などは商品として扱われない。
そのようなわけで、同じような珍しくもないものを、工場で製造された時点での値段の五倍ほどの値段で店頭に並んでいるものを日々ひとびとが買っているわけだが、これは当然の話だ。
ところが、当たり前でつまらない製品でもマニア向けで世界で3人しか欲しがらないようなものでも、等しく人の目に触れる機会があるとしたらどうか。
また、実店舗や中間流通のコストがかからない製造者と消費者がダイレクトにつながった商取引が実現したらどうなるか。
そんなことを可能にしたのがインターネットという近未来ツールだといえる。

さて、ネットでものを買うと言ったら大抵の人はAmazonを思い浮かべることだろう。
昔はYahooのオークションがオンリーワンだった時代もあるが、今ではさまざまなフリマサイトというものもある。
それらで販売されている商品は、今の時代間違いなく半分は中国製だ。
中国から業者がチョイスして輸入したものを購入しているわけなのだけれども、もし中国から直接買ったらどうなるだろう。
それが今回紹介する淘宝(タオバオ)だ。

私は今から8年ほど前まで中国に住んでいたのだけれども、向こうではとにかくよく利用したのが淘宝網でのネット通販だった。
というのはいくつかの無視できないメリットがあって、大変魅力的なものだったからだ。

  • 中国は世界の工場なので世界中のものがある

  • 商品説明が大変濃厚で分量も多い

  • 中間コストを省いた分中国国内の小売よりも安価

というのがとりあえず考えつくメリットで、それらについて少しく語ってみたい。

中国は世界の工場とはどういうことかというと、世界中で消費されている商品の多くを作っているということだ。
つまり世界にはいろんな特色のある製品があるが、それらの出元であるということである。
昔中国で仕事をしていた時に雑貨のバイヤーもやっていたので各業種別の卸売市場を歩いては仕入れ先を開拓するような仕事をやることがあったのだが、これは実のところ大変楽しい仕事だったことを覚えている。
大きなビルの中にひしめくように問屋の業者が店を構えていて、いかにも日本向けの、というより日本から持ってきた日本製品そのものというパッケージのものが並んでいるかと思えば隣はデザインもあまり見たことがないようなドイツ語のパッケージの雑貨が並んでいて、その向こうはどこの国向けかわからないがスペイン語が踊っているというような具合だ。
品物自体もそれぞれの仕向地ごとに特色があって、アメリカ向けの使い捨て食器なんかは色もカラフルであらゆるものが揃っていたり、ヨーロッパ向けのキッチン雑貨はアイディアとデザインがとても秀逸だったというように、世界中のありとあらゆるものが一度に揃うのが中国だという現実に気がついて大変目が覚める思いをしたものだ。
そういう中国の業者が出店している淘宝網は言うなれば世界のマーケットの縮図のようなもので、ただ見ているだけでも世界に触れた心地がしてたのしいのである。

中国の中華鍋作りの人間無形文化財のおじさんの中華鍋

商品説明が大変行き届いているというのは結構日本人にとって意外に思われるかもしれない。
なに中国といったら雑で信用できなくてなんだか怖いというイメージの人が多いことだろう。
確かに中国といったら雑で信用できなくて揉めると手強いというのも事実ではあるが、それが全てではない。
世の中で中国人とユダヤ人は商売に優れていると言われるが、とにかく中国人の商売に対する情熱と実行力は大したもので、儲かることに対しては日本人よりも遥かに努力を惜しまない。
また中国の社会は元々が他人を容易に信用しない社会なので、信用してもらって品物を買ってもらうためには相応の努力をしなければならない。
そのために淘宝網の商品説明欄は日本のAmazonなんかではあまりないほどに画像による説明、往々にして動画もあり、それもきっちりした立派な販売ページが構築されているのである。
これはただ見るだけでも楽しくて、気がついたら收藏夹(お気に入りフォルダ)に結構いろんなアイテムが保存されている。
中にはハハアなるほどと感心させられるようなものから、なんじゃこりゃ、という人にとりあえず見せたくなるような面白いものまで様々で、異文化とのインターフェースとして大変面白い。
もちろん役に立つ実用品も多く、種類や選択の幅の豊富さは群を抜いていることも付け加えておこう。

護身用ポリカ製強化定規

値段が安いということについてもメリットは大きい。
今やかつてない円安で1元が20円もする時代だが、それでもメリットがあるほどに中国と日本では価格差が存在する。
物にもよるのだけれども、本来安かったものが様々な事由によって小売が高額になっているということもあり、自分で直接中国から買い付けることでそういった中間コストを回避できることはとてもありがたい。
例えば日本のネットでは3000円の値がつけられている商品があるが、同じものが中国では19.9元なので現地での価格はほぼ400円、あとはこれにどのくらい送料がかかるかだが、今回合計35キログラムほどの荷物を日本に送るのに上海の中経倉庫から日本までの送料が769元だから約15380円、キロあたり440円ほどだ。
これは日本のEMSで29−30キログラムあたりの1キロあたりマークアップ額が800円であることを考えると、かなり安い。
業者から上海の中継倉庫までの送料も別途かかるのだが、大体1000円で日本まで届けることができる計算になる。
いくらか条件がつくことにはなるが、実質的に日本にいながら日本の数分の一のコストで買い物ができるというわけだ。

購入品リスト
日本に送る場合は一旦上海の中継倉庫に送られてパッケージングされる

そういうわけで、中国から世界の買い物を日本にいながらにしてできる淘宝網(タオバオ)というツールをこれから紹介していきたいと思う。

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