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【模型】1/72陸自パジェロで手先を鍛える 〜フジミ 陸上自衛隊1/2tトラック〜
私が陸上自衛隊を受験した1990年は色々変わり目の時期で、制服も茶色い70式制服が緑色のものに変わり、戦闘服も従来の薄緑色の熊笹迷彩が今のⅡ型迷彩戦闘服、当時は新迷彩と言ったか、ともかくも目に見えるものが随分と変わってイメージが一新された時代だった。
当時チレンと呼んでいた地方連絡部には受験のため何度か訪れたが、駐車場には「福地連」とマーキングされた73式のジープが停まっていたのを覚えている。
このジープがジープではなくなったのも大体この頃だったような気がする。
それまではいかにも軍用車でござるという顔をしたジープが世界中で使われていたのだけれども、さすがに基本設計が戦争中のクルマなので、まもなく21世紀になろうという頃にはすっかり時代遅れになり、各国は独自の小型汎用車両を採用するに至ったのだが、日本の場合は同じ三菱自工ということでパジェロに決まった。
そういえばジープをジープと呼んではいけなくなったのもこの時代だったような気がする。
「Jeep」はどうもクライスラーの登録商標になったようで、クライスラーが販売するもの以外は一般名称としてもジープという呼称は不許可となり、ためにプラモデルの世界でも従来はジープのプラモといっていたものが、「1/2t小型軍用車」とかいうよくわからない名前になってしまった。
つくづく世知辛いもんだと思う。
さて、昔の自衛隊のジープは73式小型トラックという名称で正式採用されていたのだが、その後90年代に登場した陸自パジェロも不思議なことに「73式小型トラック」という名称だった。
自衛隊の装備品は正式採用された年の西暦の下二桁をとってXX式という名称を付与されるので、前のジープが1973年、おお私と同級生ではないか、なのは分かるが、90年代のパジェロも73式とは何事か。
これは面妖だと思って調べてみると、なんでもジープをパジェロに装備変更すると予算が下りないのだが、「従来の装備のマイナージェンジなら構わない」とかいう大蔵省のガイドラインに従って、73式の名称をそのまま踏襲することになったらしい。
ジープとパジェロではそもそもクルマとして全く違うもので、これが通るならトラバントだってメルセデスと呼んでもいいくらいの欺瞞だが、今と違って信じ難いほど風当たりが悪かった当時の自衛隊の予算はこのくらいのことでもしなければ絞り出せなかったのかもしれない。
さすがに今では誰が見てもおかしいので陸自パジェロは1/2トン小型トラックという名称に改められたようだ。
そのプラモデルを作ってみた。
フジミの1/72シリーズはなかなか出来が良く、前から積んでいたこのキットはなんとお得な3両入り、箱を開けると中にはぎっしりとランナーが詰め込まれていて、一度取り出したら元に戻せないほどだ。
プラモデルの箱の大きさは完成したものの大きさとはあまり関係がなく、部品点数が多ければランナーの枚数も増えるので、細かいキットほど箱が大きいというようになっている。
ところで車のプラモデルというものは大体が1/24で作るもので、模型の寸法としては大体OLさんの弁当箱くらいの大きさになる。
また戦車模型は1/35が標準サイズで、模型の寸法は戦車ならおっさんの弁当箱くらい、自動車ならタバコの箱くらいに仕上がる。
翻って今回作るものは1/72スケールといって、本来は飛行機模型なんかでポピュラーなサイズで、このスケールだと戦車でもタバコの箱ぐらいになってしまうのだが、ジープやパジェロのような自動車だと、親指1本分くらいの小ささになってしまう。
このサイズで普通の自動車模型とほぼ変わらないようなパーツ展開なので、これは凄まじい細かさだ。
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マス目の大きさは1cm角
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最近は老眼も進んできたのでヘッドルーペ無しでは何がどうなっているのか全くわからない。
パーツの切り出しも、パーツそのものが米粒よりも小さくバッタの足のように細いので、ピンセットで掴むにしても呼吸の影響をだいぶ受ける。
息を吐きつつ適正な力で挟むとなんとか作業ができるのだが、まさか模型の製作で射撃のコツが活きるとは思わなかった。
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車両の製作と並行で乗員の製作も進めなければならない。
というのは、ドライバーにちゃんとハンドルを握らせるためには屋根をつける前にポージングしなければならないからだ。
この1/72のフィギュアという奴はとにかく小さいのだけれども、これももちろん塗装する。
しかも昔のOD作業服ではなくて新迷彩の戦闘服を表現しなければならないのが大変だ。
このサイズだとさすがに顔は描かなくてもよく、というか描くことなど不可能で、1/35と違って省略できる部分も多いのだが、とにかく陸自迷彩に見えるように塗るのはセンスがものをいうようだ。
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こうして車両3台と乗員4体の基本塗装が終わるとスミ入れを行いデカールを貼って、一度フラットクリヤーでトップコートを吹いて表面を落ち着かせておく、
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ここからさらに灯火や細かい部分の差し色を入れていく。
これがなかなか楽しく、色を差すごとに模型の精密感が上がってくる気がする。
そうやって全ての工程が完了したら、窓のマスキングを剥がして完成。
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これだけ見ると1/35と言っても信じてもらえるかもしれない
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そんなわけでとにかく細かい作業の連続だけれども、本来1/35でやる仕事を半分、というか体積でいうなら1/8のサイズでやったので、精密感がものすごい。
ミニスケールは大変だけれども、出来上がりの精密感がいいうえに収納スペースも少なくて済むのがありがたい。
仕事の合間の足かけ1週間で完成、さて次は何を作ろうか。
やっぱり車列を見てしまうとこれに加えられる何かが作りたくなるもんだ。
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