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MRJ失敗後に三菱重工業(7011)の株価が急上昇している件:株式投資の難しさ

国産航空機MRJの開発失敗、H3ロケット初号機の失敗など、パッとしない三菱重工業が、ここへきて爆発的に株価を伸ばしている

yahooファイナンスより

これはいったいどういうことなのだろうか?

これぞ人生万事塞翁が馬:MRJ関連で予想外の業績アップ!

国産航空機の夢を乗せて、国費も投入され、私も投資銘柄として夢を託していた三菱重工業であるが、国産航空機(MRJ)はテスト飛行はできたものの、米国での認証がいつまでたってもおりず、結局事業撤退の決断となったことはわりと記憶に新しい。

国産航空機(MRJ)のプロジェクトは失敗したのである。

次世代戦闘機の開発のため、チームの経験は引き継がれるということだけれど、次世代戦闘機で大きな利益が上がるとも思えない・・・

つまり、投資妙味のある銘柄としての、三菱重工はオワコン化したのである。かつて何度も三菱重工(7011)の株を買い、そのたびに涙してきた筆者としても(笑)、すっかり興味を失い監視銘柄から外していた・・・すると、ここにきての株式爆上げ・・・!

MRJの経験が、航空機メーカーへのMRO事業の成長に大いに役立っている様子が決算からもうかがえる。そもそもMROとは「メンテナンス」「リペア」「オペレーション」の略称であり、製造業において整備やオーバーホールを担うビジネス用語である。

 そんな同社のMRO事業が含まれる「航空エンジン」事業を確認すると、売上収益は前年同期の716億円から1265億円まで急成長しており、たった1年で76%も売り上げを伸ばしている

なんと・・・!MRJのために買収しまくっていた航空機下請けのメンテナンス事業が、航空需要の回復とともに業績好調というのだ!!

開発が始まった当初、三菱重工は、世界の航空機メーカーと肩を並べる存在になることを期待されていた。しかし、燃費の良さを追求した新型エンジンの開発遅延や、設計変更による生産ラインの停止など、さまざまな問題が起きたことで開発費の増加と、納入スケジュールの遅延を招き、最終的には撤退となってしまった。

 しかし、そこで得られた知見は決して無駄ではなく、23年度もエアバスをはじめとした世界各国の大手民間航空会社向けのMROソリューションや工場拠点の拡充に乗り出している。

 「MRJ」の困難は商業的な成功を阻んだだけでなく、三菱重工業の株価にも影響を与えた。特に、「MRJ」の開発が難航した15年以降、株価は一時的に3分の1以下にまで下落した。23年3月にMRJからの撤退が発表されると、一時的に売り込まれてしまったのだが、その後発表された好調な決算により、業績と足並みをそろえる形で株価も回復してきている。史上最高値である8000円台も十分圏内となる5400円まで戻してきた。

 今年度は好調な航空機・ガスタービンに加え、岸田政権下で準備が進められる防衛分野においても三菱重工の存在感は一層高まってくることが予想される。そんな三菱重工を「オワコン」と断ずるのは早計であるといえるだろう。

MRJという「本体」は死んだのに、「本体」を支えるための下請け事業が好業績をたたき出しまくっているというのは何とも・・・これぞ、人生万事塞翁が馬ではないだろうか?

やはり株式投資は難しい・・・けれども面白いと感じた最近のできごとであった。

(画像は写真ACから引用しています)

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