株価急落時の素人投資家の戦い方：ユニ・チャーム、全日空(ANA)、壱番屋の株価の分析から考察する

2020年のコロナ・ショック後の株価の動きを、金価格との相関から予測するというエントリーを以前行った。

今回は具体的に、「株価急落期にはどういう株式銘柄を狙えば良いのか？」という観点から分析を行ってみたい。

世界的な株価急落後、実体経済とは大きく乖離した株高が続いている。迷える今後の指針の一つとなれば幸いである。

取り上げる銘柄は①ユニ・チャーム、②全日空(ANA)、③壱番屋である。どうしてこの銘柄を選んだかというと、①ユニ・チャームはマスク製造大手で、コロナウイルス感染拡大局面でも堅調な業績が期待できるため、②全日空(ANA)は逆にコロナウイルス感染拡大に伴い今後当面は厳しい経営が予想されるため、③壱番屋は海外展開も行っている元来業績堅調な外食産業の代表として、という理由である。

コロナウイルス感染拡大局面において、まったく異なる経営状態の3社を比較することで、実体経済と解離した株価の動きを考察する一助としたいと思う。

(後半部分は投げ銭代わりに有料記事(200円)とさせていただこうと思います。分析が気に入った方は、ぜひご購入くださいm(__)m)

コロナ時代の本命銘柄：ユニ・チャームの株価の動きの分析

ユニ・チャーム(8113)は、紙を使った生理用品の大手メーカーで、不織布マスクも販売していることから、コロナウイルスショックの最中にも堅調な業績が期待できる企業である。実際に、この時期の売り上げは例年の1.5倍ほどになったそうだ。

その2020年2月～5月末までの株価の推移を、激動の日経平均株価と比較しながら見てみよう。

この期間を通した日経平均株価とユニ・チャーム株価の相関係数は0.081である。相関係数がほぼゼロ、すなわち、日経平均の動きとユニ・チャームの動きは、ほとんど連動していないということを意味する。

これは、きわめて興味深い結果である。

しかし、2月19日前後から始まる株価の急落局面、いわゆるコロナ・ショック期に、堅調な売り上げが期待できるユニ・チャームの株価も急落している。具体的には、どこが違うのだろうか？

上図の矢印で示したように、日経平均の連れ安後、反発は速やかで、なんと急落前の株価を上回る水準でその後推移していることが分かる。

これは、好業績が期待できるゆえの、株価の動きだろう。結果として、全期間で見た場合、日経平均と連動はしていない。

このことから、ユニ・チャームのような好業績が期待できる業種の株価は、「株価急落期には、全体の地合いの影響で連れ安となるが、反発は速やかで、もともとよりも高値に到達する」ということが言える。

我々一般人の投資戦略としては、こういう強い銘柄を見つけたときには、全体の地合いが悪化する中で買いに向かえば、その後すぐに利益を回収できる可能性がある、という法則が成り立つのかも知れない。

コロナ時代の逆境銘柄：全日空(ANA)の株価の動きの分析

続いて、コロナ時代に航空需要が激減し、当面の間苦しい業績が予想されるANA(9202)の株価推移をみてみる。世界各国でも航空産業の苦境が続き、国費投入も行われているような現状である。

日経平均株価とANA株価の相関係数は0.686であった。まずまず連動して推移していると言える。

しかし、ANAの株価推移には大きな特徴がある。

日経平均急落期に、ANAの株価はいったん乱高下していることと、その後ゆるやかな下落局面が続いていることである(最近は全体の地合いの改善を受けて上昇傾向)。

ANAの業績は、どう考えても向こう1年ぐらいは上向く見込みはない。市場はそれを見込んで、全体としてはダラダラと下落が続いている。

なので、株価急落期にANAを割安だと思って購入することは、一般投資家としては避けるべき、というのが教訓なのだろうと思う。

ある意味で業績悪化の王道銘柄ともいえるため、ややマネーゲーム的な乱高下がある点も、素人投資家には手が出しにくい。ただし、中長期で見れば割安圏で推移していることは間違いないため、長期保有前提であれば購入もアリだのだろうと思うが、資金が限られている素人投資家であれば、株価急落期にはANAのような銘柄よりはユニ・チャームのような銘柄を購入した方が賢明であると言えるのではないだろうか。

記事の続きでは、外食産業の代表としてカレーチェーン店の「壱番屋」の分析と、総括として一般素人投資家は株価急落期にどのように戦うべきか、というまとめを述べていこうと思う。

分析が気に入った方は、記事を購入していただければ大変励みになりますm(__)m