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読書メモ:最高のコーチは教えない(著者 千葉ロッテマリーンズ 監督 吉井理人)


診断士試験が終わってちょっと燃え尽き感がある中、久しぶりに本屋をぶらぶらしていたら、この本が目に留まりました。

著者は日本ハムでダルビッシュ・大谷翔平、千葉ロッテで佐々木朗希を育てた現千葉ロッテ監督の吉井理人さん。

この本を手に取ってみた大きな理由は、私が現在母校のアメリカンフットボールチームに社会人コーチとして携わっていることが大きい。


ほぼボランティアで週末のみのコーチではあるが、社会人コーチという役割で大学卒業からしばらくチームに関わらせてもらっています。


基本的にはどういう伝え方をしたら学生が指導を受け入れて上達するのか、ちょこちょこ本などを読みながら試行錯誤しながらやってきました。


本書を読んでみるとこれまでやってきたことが言語化されたいい本だと思ったので、自分のメモと所感としてアウトプットしておきます。



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コーチングの基本

コーチの仕事は、『選手が自分で考え、課題を設定し、自分自身の能力を高められるように導くこと』

・叱るべきタイミングとは手を抜いた時だけ
・ミスは絶対に叱らない

・コーチが行う指導は大きく2つに分けられる
 ①選手個人のパフォーマンスを上げるための「指導行動」
 ②選手のモチベーションや練習の取り組み方、設定課題の質を向上させるための「育成行動」

これに関しては初めて目にする区分でしたが、その後に

指導行動技術的なスキルを教えること
育成行動→技術ではなく心理的、あるいは社会的な面において個人の成長を促す行動

との説明がありました。

「スポーツコーチング型PMモデル」

その後、指導行動・育成行動については、コーチング対象者の4つのステージで指導方法を変える「スポーツコーチング型PMモデル」として詳しく説明されていました。

図1.スポーツコーチング型PMモデル(図子,2014)を元に著者が作成  ※本書からの引用


各ステージごとの概要は下記。

第1ステージ 対象:初心者(新人)
「指導行動」重視

<やること>
・基本的な知識(技術)、スキルの指導
・指導に対するモチベーションが高い

図1右下

第2ステージ 対象:中級者(若手)
「指導行動」「育成行動」ともに重視

<やること>
・技術レベルが同じ位の若手をまとめて指導して、相乗効果を導く
・人の成功や失敗を自分事として考え、多くのケースに触れさせることで、自身の経験として落とし込み、経験不足を補ってレベルアップを図る

図1右上

第3ステージ 対象:中上級者(中堅)
→技術的に言う事はあまりないため「育成行動」重視

<やること>
・プライドを損ねないように、心構えを作る
・相手の話を聞き受け入れつつ、説得や声掛けをする

図1左上

第4ステージ 対象:上級者(一流・エース)
→「指導行動」・「育成行動」ともにあまり必要なし

<やること>
・寄り添って、信頼関係を維持する
・質問が高度になり、相談役として高いレベルの話が求められる

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所感

個人的には「スポーツコーチング型PMモデル」

第1ステージ:入部したばかりの1年生
第2ステージ:2年生・3年生(シーズン前半)
第3ステージ:3年生(シーズン後半)・4年生
第4ステージ:ほんの一握りの4年生

と置き換えるとすんなりイメージできました。


また、本書にはこんな記述も。

第4ステージの選手を育てれば、チーム全体に良い影響を与える
(一流の選手は、自然と注目され、周りもそれに感化される)

※具体例として、ダルビッシュ有・大谷翔平の名前があげられていた


これは確かにその通りで、現在のチームにも第4ステージに該当する選手は本当に一握りしかいない。


最上級生である4年生の中でも、第2ステージと第3ステージの間に該当するような選手もいる。

そんな中、現在の関わり方の中で自分にできることは大きく2つかなと考えました。


①3年生以下は、出来るだけ早く(そして多くの人数を)、第3ステージまで底上げすること

②4年生(+有望な3年生以下)は、第4ステージ(少なくとも第3と第4の間)まで引き上げること



PMモデルをものさしとして活用する選手(社員)がどのステージに当てはまるかを見極めるには、とにかくその選手(社員)を観察することが必要だ。技術レベルと性格を見極めどういうことに困っているか、その選手(社員)がその時点で抱えている課題を見極めることによって決まると考えてよい。

P108より引用

上記にもあるように、選手によって性格や取り組み姿勢・技術も千差万別。

①は今までの経験踏まえて何とかやれるんじゃないかと思っていますが、②は自分自身もまだまだ勉強が必要なので、研鑽を続けていきたいですね。

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まとめ


社会人コーチとして週末しかチームに携われない中、理想とするチーム像は、選手が自主的に考え、チームの目標達成に向けて自走できる組織だとコーチ間でも常々話しています。



自分の存在が、チームの目標達成(勝利)と、学生自身が選手としての技術的成長と人間的な成長を実感できる一助となれると大変嬉しく思います。

簡単なまとめですが、以上です。
読んでいただいてありがとうございました。


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追記

今回は本書の前半部分をメインに書きましたが、気が向いたら後半もまとめたいと思います。

以上、おわり。



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