憎む、ただ。

20時、
沢山のヒット曲が流れていた。

苦しみを溶かすような優しい愛、
力強く背中を押すようなエール、
大切なことが沢山歌われている。

こんなにも伝えられている、
届いている、はずなのに。
届いて欲しいところまでは届かずに
波にたゆたう言葉たち。

どうして苦しみが絶えないのか。

どうして大切なことをすぐ忘れてしまうのか。

すぐそこにあるものは?
目に映っただけで通り過ぎる日々。
この目は何のためにあるんだったっけ?
己すら見失っている。

愛を忘れさせる世界を憎む。

ただ生きることすら悩ませるこの世界を憎む。

生を全うすることすら許さなかった時代から
私たちはどれだけのものを奪われてきた?

魂は巡る。
巡りながら学んでいる。

いま何度目の命だろう。
私になるまで幾度も生命が生まれて還っている。
その全てがわたしの血に刻まれている。

痛みの記憶を私たちはもっている。
充分過ぎるほど繰り返してきたはずだろう。

悲しみや苦しみに
血を流さなければならない世界を憎む。
いつまで続けるのか、この苦しみを。


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