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世界の工業2(エレクトロニクス)

情報化社会を支えるエレクトロニクス産業は、自動車産業とは異なる特徴を持ちます。
先端技術産業であるため、製品革新のスピードが速く、製品開発力が重要です。さらに参入メーカーも多く競争の厳しい業界です。

半導体

半導体生産量のデータが探せなかったので、各会社の収益で代替しました。
データはこちらです。

かつては日本の独壇場だった半導体市場ですが、今や韓国や台湾に大きく溝を開けられています。アメリカはしっかりと国策として半導体産業を守っていますね。中国は、アメリカによる対中半導体規制強化の影響もあり生産能力を上げられずにいます。
政治がいかに長期的な視点を持てるかどうかも影響しているようです。

コンピューター・テクノロジー

次にコンピューターやテクノロジー関連会社の収益を見てみます。
データはこちらです。

Appleはアメリカのテック企業の売り上げの3割を占めています。韓国のサムスンに至っては韓国全体の7割です。台湾のFoxconnは世界最大の電子機器受託生産 (EMS)会社 で、Appleや任天堂などの受託生産を行っています。(Foxconnは台湾が本社ですが工場は中国にあります。)

スマートフォン

2022年から2023年にかけての機種ごとの世界シェアからスマホ生産がさかんな国を調べます。データは、こちらです。
スマホ市場は米国Appleと韓国Sumsungのシェアトップ争いが熾烈です。3位には中国のXiaomi(シャオミ)が入っています。4位以下、Oppo、VIVO、Huaweiと中国勢が続きます。

地理Bとは関係ないですが、国別で人気のあるスマホはどれか調べてみました。データはこちらです。

世界ではiPhone14が主流ですが日本ではiPhone13ですね。どちらも10万円以上するので、簡単に乗り換えはしないのでしょうか。若しくは、携帯会社との契約期間の縛りが影響しているのかもしれません。また新規顧客は安価なSEに行っている可能性もあります。ちなみに日本人はiPhone好きと言われているようですが実際はどうなのか見てみます。

先進国は軒並みApple優位となっています。日本人が特別Apple好きというわけでもなさそうです。韓国はSumsungのお膝下だけにGalaxyシリーズががんばっています。インド、中国では中国製のスマホも含めて乱立している様子がわかります。

iPhone指数?

このデータを見て、iPhone指数という言葉を思いつきました。ビッグマック指数のようなものです。iPhoneのシェアと1人当たりGNIは正の相関を持っているのではないでしょうか。

実際にSASで相関係数を求めてみると0.92という非常に強い正の相関がありました。

iPhoneはAndroidスマホに比べて高いので、個人収入が高まらないとなかなか買えないのでしょうね。いわゆる高級品扱いです。

ちなみにiPhone指数というものが世の中にあるのかGoogleで検索してみると、"iPhone index"で28万件、日本語の"iPhone指数"で10万件でした。「iPhoneを買うために何日働いたらよいか」というものみたいです。

まとめ

エレクトロニクス産業は今日の情報社会を支える重要な産業です。先端技術の塊なので、研究開発は先進国、量産は労働集約的に行う必要があるので賃金の安い新興工業国や発展途上国で行うという企業内分業が行われています。この分業がさらに進んで、研究開発のみを行い、生産部門を切り離すファブレス企業もあらわれています。その逆に生産のみを請け負うEMS(Electronics Manufacturing Service)や、ファウンドリといった企業も新興工業国で増加しています。

今回はスマートフォンのところで少し脱線しましたが、面白そうだなと思ったところを深堀していくと新たな発見があり、それがデータサイエンスの楽しみでもあります。今回の調査をしていて、多くのサイトで根拠なく「日本人はiPhoneが好きだけど海外ではAndroidが主流」というような記事が書かれていました。私の海外の知り合いもiPhoneばかりだったので、肌間隔で本当だろうかと思っていましたが、実際に調べてみるとやっぱりそんなことはなかったようです。あらためてデータの重要性を認識しました。

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