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未病対策2(大腸がん検診)

50代の男女約5万人を対象に青森県が実施した検診モデル事業で、3年間で計34人から大腸がんが見つかった。大腸がん検診を受けていた人に対して受けていなかった人の発見率は3倍に上るという。

青森県の大腸がんによる死亡率は14年間ワースト1位。大腸がんは早期に発見すれば100%近くが生存できる一方、県内では生活習慣の影響が出始める40代以上の働き盛り世代で、がん死亡率が全国平均比高くなる傾向にある。

県は50代を対象に受診率の向上を図り、死亡率の減少に繋げようと無料で大腸がん検診を受信できる検診モデル事業に乗り出した。事業費約2億円(3年)を費やし、50代の男女約5万人に便潜血検査キットを送り、自宅で採取した検体を郵送の他、自宅近くの薬局でも受け付けて手軽に受診できるようにした。希望者は内視鏡検査による検診も受けられるようにした。

がんが見つかった34人の内、過去5年間に大腸がん検診を受けていた人は5人で、受けていなかった人は29人。生活習慣病対策課は「検診受診歴によるリスクの差が表れた」と分析している。

一方、便潜血検査で精密検査が必要と判定された505人の内、実際に精密検査を受けた人は74.3%の375人にとどまり、精密検査の受診率向上が課題として浮き彫りになった。

「大腸がん検診を毎年受け、要精検なら必ず精密検査を受診する。たった2つの行動でリスクが低下する」と県は呼び掛けているが、住民の意識を変え、行動変容に繋げることは容易ではない。どうすればメッセージが住民に届くのか?どうすれば双方向の関係を持てるのか?が本質的な課題かもしれない。