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趣味や音楽、写真、ときどき俳句24 愛媛県の興居島

(初出:「セクト・ポクリット」2022.3.12)

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Photo by Makoto Aoki

三月になり、陽ざしが春めいてきた。

上の写真は愛媛県の興居島(ごごしま)で撮ったもので、春になると思い出す写真だ。興居島は松山市から船で10分ほどで着き、約1,000人が住んでいる。

個人的に島が好きで、船で渡って島でのんびり過ごしていると何ともいえない幸福感を感じてしまう。それも春に訪れるのが好きで、かつては近くの島に行ったりしていた。

写真の興居島は蜜柑がよく実る島で知られ、降り注ぐ陽光と海からの照り返しの双方を浴びた蜜柑はたわわに実り、甘くなるそうだ。

そんな興居島のテトラポットの上に干された洗濯ものは、春の陽ざしと海面の反射光でこれ以上なく乾きそうな気配を漂わせており、ついシャッターを切ったのだった。

この写真を撮った時は、半日かけて興居島を巡り、のんびり過ごした。自転車に乗って信号のない海沿いの道を走りながら島の各所の寺社仏閣や浜に立ち寄ったり、山に登って海の景色を眺めたりした。春爛漫の一日で、あまりによく晴れた日だったために赤くなるほど日焼けしたのを覚えている(海の照り返しも凄かった)。

島には廃校をカフェとして再利用した「しまのテーブルごごしま」があるが、私が訪れた時には休みだった。今度来る時にはこのカフェでカレーを食そうと思いながら、帰りの船に乗ったものだ。

島に渡ってから数日後、大学で講義をしていると私の急激な日焼けに受講生が奇異に感じたらしく、講義後に何人かの受講生から「どこかに行かれたんですか?」と質問があった。気持ちよく日焼けしていたので、沖縄かどこかに旅行に出かけたように感じたのかもしれない。

私は興居島に渡って半日過ごしたことを話すと、受講生らは「興居島で日焼けとは……どこか南の海外旅行に行かれたと思いました」と意外そうな表情を浮かべた。

私は「日焼けしたかったら興居島に行くといいよ」と言うと、受講生たちは笑った。

その受講生たちの中には興居島出身の学生もいた。彼女は笑顔が素敵で、春の陽ざしを想わせる笑い方だった。


※興居島のマップ

  
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