水平思考ゲームとアリストテレス(Pさん)

 東急ハンズで売ってる、「水平思考ゲーム」というのを買った。
 もともとこれを知ったのは、ありがちだけどネットの動画だった。コンテンツがなくて退屈している動画配信者にはうってつけのコンテンツだ。
 ルールは、あるなぞなぞみたいな、人をあっと言わせるようなオチを持ったシチュエーションがある。質問者は、出題者に対して、何でも質問する。出題者は、それに対して、必ず「はい」か「いいえ」で答えなければならず、はいでもいいえでも答えられないものには答えない。
 質問者は、そうして、「それは人間ですか?」とか、「それは羽を持つものですか?」とか、質問してはいかいいえかを聞き出し、星新一のショートショートのオチみたいな、ひねくれた回答を想像して導き出す、というわけである。アナログゲームの一種である。
 しかし、この、回答者が「はい」か「いいえ」で答える、という部分に関して、たいがいの場合、冷静になることが出来ない。動画で見ていても、答えが言いたくて仕方がない人ばかりだ。「えーと……同時にそこにいないという意味でははいですね」とか、手心を加えてヒントを出してしまう。
 実際にやってみても、余りに遠回りになってしまうと、回答者としては、面白い展開にしたくて、ヒントを出してしまうということもある。
 これを買って持って帰って、嫁とやったけれども、案外盛り上がった。

 アリストテレスの「魂について」を読んでいる。パオロ・ロッシの本に出てきて内容が気になった。そこで、アリストテレスが、「魂とは何なのだろうか。それは身体と同じ実体なのか、それともそれとは別なのか。
 魂とは、何かを動かすということは意見は一致している。
 魂は動物も持っているんだろうか。持っているとしたら、知性とどういう関係にあるのか、……」という風に、一個一個条件を絞って魂とは何かというのを探り出す様子は、まるで水平思考ゲームを解いているときのようで、アリストテレスにとっては、アタリはつけていたんだけれども魂というのは何なのか本当にわからず、えんえんと、自分と対話することによってそれを見つけ出すという作業をしていたんだなあと思う。美化しすぎかもしれないが。

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