上から下から(ウサギノヴィッチ)
毎日、病院では検温がある。そして、それとともに、おなかに聴診器を当ててお腹の具合を確認する。
「いまいちですね」と看護師が言う。
ぼくの食事はそれでも再開させられる。また重湯からと思っていたが、普通のご飯が出てきた。
まずい。
それでもなんとか食べていた。普通にごはんを食べていたある日、しゃっくりがとまらなくなった。どうやっても止まらない。ただ、寝ているときは止まっているようだし、ちょうど抜糸の時期で、されている間は止まっていた。
このしゃっくりは退院してからも一回なった。それを止める手段が腹を膨らませることだった。そのために、炭酸水を飲んだ。最終的には病院に行ったが、その頃には止まっていた。
しゃっくりが止まらない。主治医は胃と腸の状態を見るといって、二日連続で胃カメラと大腸カメラをすることになった。それとまずい薬を飲まされ一時間後に胃がどうなっているか、レントゲンで確認させられた。
食事はまた抜きになり、点滴のみになった。
次の日に胃カメラをやった。はじめてだった。ホースみたいなカメラが自分の口の中に入っていく。気持ち悪いし、呼吸がうまくできなかった。胃の調子がよくないという判定が終わって数時間で判明した。
そして、翌日の大腸カメラ。初めてこの病院で大腸カメラをしたときは麻酔をしてやったが、麻酔なしで今回はやることになった。ぼくの腸は複雑な形状をしているらしく、いろんな態勢になって大腸にカメラを通していく。その間に腸が塞がりそうになったところがあり、その部分を切除した。痛かった。大声だったかもしれないが「痛い」と言っていたと思う。それが終わらないかもしれないという時間の中でぼくはあがいた。
終わった後に、トイレに駆け込むと、赤い液体が便器に一滴たれていた。
検査が終わった日から主治医に「ごはんを再開させます」といって、また重湯から始まった。
体力は戻りつつあり、廊下を往復することが、午前、午後、夕方、夜とリズムを決めてやるようになった。ただ、最初は一往復するだけでもくたくただった。
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