Pさんの目がテン! Vol.24 「七人のおたく」を見た(Pさん)

 今まで、頭の中の譬えだけだけど、職場のやり取りなどで「七人のおたく」を引き合いに出すことがあった。幼少期に見ただけでほとんど内容を覚えていなかったので、アマゾンプライムに追加されているのを見かけて、見てみた。
 その譬えというのは、職場で他の職員から疎まれるような職員がいたとして、ただその職員は何かに集中するばかりに周りが見えないといった質が多いんだけれども、そういう人でも、その得意ジャンルを生かすことによって、チームとして成功するということはあるのではないか、ということを強く思うのであるが、それを僕が熱弁している時に、頭に過るのがこの「七人のおたく」なのであった。
 過るけれども、具体的なシーンなどは全く浮かばない。ただ、いろんなジャンルのおたくが七人集結して、それぞれの得意ジャンルを生かした戦術を使い、いわば、巨悪に立ち向かう、という半ば想像で付け足した筋を思い出すだけなのだった。
 ウッチャンナンチャンの二人が主演格である。南原清隆は、ミリオタで、内村光良は、アクション物というかカンフーマニアとして出ている。その他無線おたく、ドルオタ、フィギュアオタなどが出てくる。「七人の侍」をベースにしているのかもしれないけれども、七人の侍は、見たことがない。
 この、「おたく」という単語を、ひらがなで表記することが懐かしい。また、作中でパソコンオタクがマッキントッシュの、初期の機種を使っていたことなども懐かしかった。そもそも、ウッチャンナンチャンがある一定のキャラクターをコンビとして持っていた時代というのが、懐かしく感じる。要するにはノスタルジックな刺激があり、それしかなかったとも言えるけれども、何か意味のないもの、全体に資するところのない技術みたいなものに対する肯定みたいなものは感じた。協賛の会社を見ると、マッキントッシュとマイクロソフトが出ていたので、思っているより、当時すでに本物の少数派というよりは、少数派としてある程度立場の確定したもので少なくともパソコンオタクはあった、という感触はある。曲が何しろしょぼいので、制作費もそんなになかったのか、当時の技術的制約によって仕方なかったところなのかと想像する。
 南原清隆演じるミリオタが、この私生児の奪還という「作戦」を成功させるという筋なのだが、その子供を今、シングルマザーとなるべき母親のところに届けることが、二人の幸せにつながることに、本当になるのだろうか? というところが、全体を統率する者のない船の行く先でもあるのだろうかと、皮肉めいた精神は思うのでもあろうが、やはり、何かに打ち込む個人というものは尊重したい気分にはなる。ドルオタは、途中で仲間を金で売るといったことをするんだけれども。あまり、オーシャンズ11のようには、すっきりとはしない話ではあった。
 オーシャンズ11も、知ったうえでこう言っているわけではない。映画を知ったとか見たとかいっても、あまり大した意味付けにはならない。

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