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葛布の帯のこと

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葛布の帯の特徴や取り扱いの具体的なことについてと、それに付随するいくつかの諸々についてまとめています。2019-2020あたりにFacebookページで連載していた記事を転載した… もっと読む
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2021年3月の記事一覧

<続・色について>

染料をなるべく身近な植物から得るようにしているのは、採取によるその植物や周りの循環に与える影響を自分の目で確かめたいのと、その植物の生き様をきちんと観察し布に織り込みたいのと、限られた色の中での表現の多様性、可能性を追求したいのと、色落ちや色褪せ具合、採取時期による色の違いなど機能面においても検証を重ねたいのと、そうした諸々の理由があるからです。 しかし写真下の紫は「ラックダイ」または「紫鉱」などと呼ばれる染料で市販のもの。本当に久しぶり、数年ぶりに市販の染料を使って昨年染

〈葛の糸は撚りをかけていないことについて〉

緯糸の葛の糸は撚りをかけていません。 これは静岡に伝わる伝統的な手法で、葛の糸の光沢を出すことを優先した結果です。そのため、糸としての強度は撚りをかけるより下がることは否めず、押し並べて強靭な他の草木由来の糸に比べると切れやすいということがあります。 私の織った葛布の帯において、布の中で切れたという例は今のところ無いですが 長年の使用を考えると100%ないとは言い切れません。 もし、お持ちの葛布の帯地で糸のほつれや切れを発見された場合は、進行しないうちに是非ご相談ください