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葛布の帯のこと

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葛布の帯の特徴や取り扱いの具体的なことについてと、それに付随するいくつかの諸々についてまとめています。2019-2020あたりにFacebookページで連載していた記事を転載した… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

〈ご依頼いただいて帯地を織るということ〉

昨年の5月に開催した個展のご縁でのご依頼がずっと繋がっていて 今もご依頼の帯地を織っています その事は本当に有り難くて、毎日感謝しています そのようにして一年間制作してきて 制作に対する私の意識も大きく変わりました やはり 帯はお使いになる方あってのものなのだなぁ という事を 戒めも含めて実感しています * 経糸には座繰り糸、太さや種類の違うものを だいたい8〜10種類くらい使っており、それに合わせて本数や密度 織り方なども変えます 違う種類のものを混ぜ合わせる事はあま

〈葛布の帯のシワについて〉

締めた時のシワの残り具合についても尋ねられます 昨年末に仕立ててもらった八寸帯を先日締めてみました そのシワはこのような具合です これはあくまでも私の所で織っている葛布の帯についての話ですが 織りたての新しいうちは、雰囲気としては布というよりどちらかというと紙、和紙のような感覚に近く クシャッとしたらクシャッとしたままです 手で伸ばし 畳み しばらく置くと落ち着きますが  シワは完全には消えません アイロンをかけて頂くことも可能ですが(中温、当て布)絹を使っているため

〈葛の糸に撚りをかけていない事について〉

糸には撚りがかかっているのだ という事を初めて知ったのは羊毛を紡ぐことを習ったときでした (参考・「葛布に辿り着いた経緯」 https://sessou-kuzunonuno.tumblr.com/post/190193038702) 一本では頼りなく細い繊維が、束ねられ撚りがかけられると 魔法のように強くなる事を体験した時は感動しました  それまで、「糸」を、知らなかった訳ではもちろんありません でも 糸は糸としてしか見ておらず その成り立ちなど 想像もしたことが無かった