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"You'll Never Walk Alone"のアンセム的解釈

Intro

オアシスのリユニオンライブのために、来年イギリスに行く。
出張でベトナムに行ったことはある(今月末にも行く)が、旅行として海外に行くのは初めての経験だ。

せっかくなので現地の人たちとコミュニケーションが取りたいと思い、英語の勉強を始めた。
近々、『一年で英語がペラペラになる予定の男』みたいな英語勉強系のマガジンでも作ろうかな。英語系(とりわけTOEIC系)の記事って、結構閲覧されそうなイメージがあるし。

さて、オアシスと言えばイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティの熱狂的なファンとして有名だが、今日はそのライバルチームであり、僕が大好きなリバプールFCのアンセム――"You'll Never Walk Alone"について書く。

ミュージカル『回転木馬』のためにリチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン2世によって製作されたこの曲は、時代を超えて常にリバプールの試合前・試合後に歌われるアンセムになった。

単純に曲として素晴らしいのもあるが、今日は歌詞に着目しながら、You'll Never Walk Alone(二度と一人では歩かせない)という言葉の持つ意味を僕なりに解釈したい。

マン・シティファンによれば、リバプールのファンは…クズ野郎ばっかりらしい。
(https://www.youtube.com/watch?v=rsAKd1Gxz-U)

Verse

上にも書いたが、"You'll Never Walk Alone"はもともとは1945年のミュージカル『回転木馬』のためにリチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン2世によって製作されたものである。

名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の楽曲を製作したコンビであり、日本でも『ドレミの歌』を知らない人はいないだろう。

サッカー関連で流れる曲というと、例えばColdplayの"Viva la Vida"だったり、The White Stripesの"Seven Nation Army"だったり、かなり『盛り上がる』曲をイメージされるかもしれない。

だが、"You'll Never Walk Alone"はむしろその真逆、『サウンド・オブ・ミュージック』でいえば『エーデルワイス』に近い曲調だ。

この曲は時を経て1963年にマージ―サイドのバンド、Gerry and the Pacemakersによってカバーされ人気を博し、その人気を受けて地元のサッカークラブであるリバプールFCのアンセムになった。

それから40年ほどが経った今でも、この曲が持つ意味は変わっていない。

クラブのエンブレムにも"You'll Never Walk Alone"と銘されている。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%ABFC)

リバプールファンは(ノエル・ギャラガーにはクズ野郎ばっかりだと言われたが)イングランドのサッカー界でも、かなり熱心なことで知られる。
こっぴどく負けた試合の後でも必ず大きな声で"You'll Never Walk Alone"を歌う。どんな時でもチームに寄り添うファンの姿は、まさに"You'll Never Walk Alone"というその歌にふさわしい。

18-19シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝2nd Legの試合前に見せたこの歌唱はとりわけ凄い。細かい説明は省くが、リバプールはこの試合、FCバルセロナを相手に4-0以上のスコアで勝利する必要があった。

当時メッシを擁するバルセロナに対して、そんなスコアで勝つことは現実的ではない。ましてやこの試合でリバプールはモハメド・サラーとロベルト・フィルミーノというエース級の選手2人を怪我で欠いていた。

選手がピッチに立つことをみじめに思っても仕方のない状況だったが、そんな中で歌われたこの歌はファンたちの「最後まで応援する」というメッセージを伝え、選手たちを勇気づけたに違いない。

そして、リバプールはこの試合4-0でバルセロナを下すのである。

Chorus

少しばかりサッカーの話が長くなった。
ここで歌詞に目を移そう。

When you walk through a storm
Hold your head up high
And don't be afraid of the dark

At the end of the storm
Is a golden sky
And the sweet silver song of the lark

Walk on through the wind
Walk on through the rain
Though your dreams be tossed and blown

"You'll never walk alone"

全量を翻訳することはしないが、『どんな困難があっても進み続けよう』『困難の終わりにはきっといいことが待っている』という強いメッセージの込められた歌詞である。

これだけではただの奇麗事のようになってしまうが、歌のラストは以下のように締められる。

Walk on walk on with hope in your heart
And you'll never walk alone
You'll never walk alone

"You'll never walk alone"

希望を抱いて進み続けるんだ
そうすれば、君は二度と一人で歩かない

ちょっと合ってるかどうか自信はないのだが、Andを「そうすれば」と訳してみた。これをアンセム的に解釈すれば、『一生懸命頑張っている姿を見せてくれればそれでいい、そうすれば我々は応援し続ける』といった具合になる。

一方で(ここからが重要なのだが)、なぜこの歌の歌い手は『君は二度と一人では歩かない』と言えるのだろうか?

答えは単純で、『自分自身が「君」と一緒に居続けるから』に他ならない。『回転木馬』でどうなのかは知らないが、アンセム的解釈をすればこの結論におのずと至る。

そしてこの時、『二度と一人では歩かない』人物は「君」以外にもいる。それは当然、これを歌っている人物である。自分自身が君とずっと一緒に居続けるのであれば、君も自分自身とずっと居続けることになる。

これは、応援という行為が持つ価値を端的に表しているように思う。
ファンは選手たちを応援する。サッカーのファンは『サポーター』と言われるぐらいだから、選手たちはその後押しを受けて、試合で全力を発揮する。
ファンはその姿に勇気づけられて、生きる意味を与えられる。

何もスポーツの話だけではない。
身近にいる人を応援――もっと言うと応援だけではなく、「そばにいる」とか「抱きしめる」とかでも良いと思うのだが――する行為というのは、必ず相互的なものだ。

誰かがそばにいてくれて嬉しいと思っているとき、きっと相手も同じ気持ちなのである。そんな関係、素敵だよな、とこの歌を聴くたびいつも思う。

outro

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普段はクジラサウンズという名義で楽曲を配信しています。
歌詞が大好きで、歌詞にこだわりをもって曲を作っています。
本稿で興味を持っていただいた方はぜひ聴いてみてください!

新曲「猫のはかまいり」 mv

「レメディ」 mv

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以上

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