搾取の問題がなくなれば、性風俗は「ただの産業として成り立つ」のか？

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キッカケの話

キッカケはアンケートでした。二年前の2018年に行った↑上記のものをもう一回してみたら、どんな結果になるだろうかと思いました。（上記結果は今回2020年のものです）

すると、ききまるさんからリプライ頂き、その問いかけがタイトルの言葉です。

https://twitter.com/7MveMojdo1nqTMK/status/1288466912221868034?s=20

問いが難しすぎて、考えつつメモ帳にまとめました。最初わかりやすく書きたくて始めましたがどんどん捻れが生じてきて、４日間続けて考えに考える事になりました。ききまるさん、良い問いかけをありがとうございました。

それとお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

以下、返信になります。

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ききまるさんの意見を受けて、考えました。
ここでは性風俗を「全ての性的な仕事とします。実店舗から、ネットでの配信なども全て。

①ききまるさんのご意見。「女性差別、人権軽視の現状でのメリットその他

・メリット
高額な報酬、融通の効くシフト、人間関係問題が少ない

・デメリット
悪質な経営、盗撮、本番強要
性犯罪にあいやすい、あった場合に助けが無い
建前でだけでしか性行為を禁止していない

・構造的差別問題
女性の所得が少ない為に高収入を求めて働かざるを得ない場合がある
女性は高収入のポジション、仕事から外されている。

ききまるさんが仕事にした理由は、性的なことに抵抗が少ないから。

風俗の法律や取締りが良くなる→健康診断や給料面も改善され、本番強要や性被害もなくなる...？
女性向け性産業も活発にする。不均衡さの指摘。

「お金の面で満足出来、精神的に余裕が生まれた」
↑あくまでお金が入った為に余裕が生まれた、という事。つまり他の仕事でも高給が入れば良い。
他に高給な仕事、ニーズにあう仕事がない事が本当の問題点。

上記のメリットデメリットは”現状でのもの”という事を認識しておく。

※問題は「性風俗が高給を女性に約束され、安易に就くことが出来る」という現状。身体的精神的に搾取される現状。

②”現在の”性風俗の問題点

・ルッキズムの影響を受けがちである
・「性行為をするのは違法である」という建前しか守られず、グレーである。実際に性行為が行われる場合がある
・性犯罪に遭いやすい。盗撮、強姦、傷害など。
・辞めた後にも付き纏われる場合もある
・辞めなくても仕事以上のサービスを求められる事もある
・過去に性被害にあった人が選ぶ事も多い(性被害者への適正なケアを受けられる場所が少ない、アクセス場所がわからない)
・健康を損なう場合もある
・困ったらすぐに就業出来るというハードルの低さ、勧誘の多さ。
・女性差別の解消はかなりの困難

③「問題点を全て改善出来たら、性の産業は搾取される産業ではなく、ただの産業になるのではないか？需要もあるし。女性向けの性産業ももっと活発になるべき。」

・女性向け性産業と男性向け性産業の不均衡さは今のまま直そうとしても難しい。

・人権侵害行為を禁止する等が真実可能かどうか

・まず前提を覆すようだが現在の状況を改善するのは、社会構造を根底から覆すほどの改革が必要だから、容易ではない。

④また「”現在の状況”で性風俗を全てなくしたら」？

アンダーグラウンドに潜り少しでも健全であろうとする力は失われる。余計に今よりもひどい状態になるだろう。現在の法律でギリギリ保っている部分がなくなってしまったら悪い方向にしかいかない。さらに助けも求めにくくなる。
性風俗を全て無くそうとするのではなく、健全化をはかり従事する人間が人間らしく働ける状態へ持ってゆく事。
建前を本当に守られる法律に変える。
この所が今の社会での現実的な落とし所ではないだろうか。

職業選択の自由も現在は殆どない。様々な事情に縛られている。
現在の日本の社会構造の中で「主体的に性風俗を選んで仕事にしている」というのは無理がある。
他の選択肢への道を塞がれていて、道がある事にも気がつかない状態にされている

⑤問題点を本当に全て解消出来るか

現在の状況からは難易度が高すぎる...ので、現在より少しでも解消が出来たと仮定し、女性が人間として扱われる世界になったら。

a.性産業と同じかそれ以上に稼げる仕事へ就く自由が全ての人にある
b.本人の希望のみで性産業に就く事が出来る。『真の職業選択の自由』がある

上記a、bが可能になったなら「ただの産業」の一つになる可能性があるか。考えてみよう。

...①で考えたメリットデメリットは、あくまで現状でのこと。「女性差別が横行し、女性を商品や道具として見做す。男性も一部の強者男性以外は人権がほとんどない」からこそ、女性に価値をつけ、男性が女性を道具として使い、ストレスを解消すると男性が男性から金銭を奪う形が成立する。
その“価値ある道具”(=女性)としての対価が、「高給と自由の効くシフト、少ない人間関係」であるといえる。他の仕事では用意されない特典。

人権尊重が出来る社会になり、他の高給の仕事に女性が就く事が容易になったと仮定する。
そうなった場合「搾取ではなくただの産業の一つとして成り立つか」。

現在の性風俗は搾取構造である。その搾取構造がなくなったら、そもそもサービスは成り立たない。

人権が尊重され女性差別がなくなり、真の平等がある社会。
今まで地球上で達成されたことのない社会が誕生したら、その時は「相手をあげたり下げたりする事がないので、その構造で成り立つ性産業は消滅するだろう」と考えます。

「女性差別がなくなったらただの産業の一つになる」のではなく、「性産業がなくなるか、あっても今とは違う形態であるし、数も少なくなる。現在の形態のままでの性産業のひとつとしては、そもそも成立しない」が自分の答えです。

搾取的な構造、男尊女卑思想・意識に支えられた産業が、現在の性産業。
人間のもっとも大事な部分、人権や自尊心を高給というので納得させる仕事。
人間を女性という商品とみなしてはじめて性産業が成立する。多くの男性たちは女性を崇めながら見下している。
他に選択肢が用意されず追い込まれ、そこしかない状態へもっていかれ「主体的に選んでいる」と高い給料で納得させられる。
これが現在の社会構造の問題点だと思います。

決して現在性風俗を仕事にしている人を批判する意図はないことも最後に記します。
悪いのはこの社会構造を作り、保っている”どこかの誰か”であり、追い込まれてその仕事に就かざるを得ない女性ではないからです。
けれど、今回のことを分析し考えるうちにこの現実を記すことは従事する女性を傷つける可能性があると思いました。そうではないことを重ねて伝えておきたいと思います。

お時間を頂いた上、大変長くなりごめんなさい。
ありがとうございました。