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何にもなれない、いつだって私は。
バイトの面接に落ちた。
「お仕事をお願いする場合は、3営業日以内に連絡します。」
催事スタッフの面接で最後にそう言われた。接客業は沢山してきたし、変な受け答えもしていない…側から見れば"どこにでもいる普通の大学生"だ。だからすぐ返事は来るだろうと思っていた。
今日がその3営業日目。メールをいくら更新しても就活サイトのメルマガが届くだけで、17時になった。
あー、これで落ちたのは何個目だろう。
偏差値の低い大学で単位が足りず卒業がずれた。目立つ経歴もスキルも無く、将来性の見えない学生。そう、本当は"どこにでもいる普通の大学生"じゃなく、"典型的に転げた大学生"である。そして、どこの面接でもオジサン達が「あーなるほどね」という顔をするんだ。気持ちは分かるよ、でも最近ようやくやりたいことが見つかったんだ、私は必死こいてあれこれ言葉を並べる。
今回はつなぎとして、日払いの催事スタッフに応募したけれど、これも駄目だった。単純にもう直前だし、希望を出した日程に人手が必要ない、というのもあるだろうけど、それでも少し凹んだ。
本当は就活をして、内定を貰い、そこでアルバイトをする方が効率が良いのも分かってる。ただ自信が無くて、怖がりで、逃げているどうしようもない馬鹿で。やるべきことは分かっている。分かっているのに、何がこんなに不安なんだろう、私は。
"やりたいことが見つからない"
たったこれだけの問題に、一生悩むことになる人もいるんじゃないだろうか。
今も昔も、やりたいことや夢を話す人は眩しくて、まるで別世界の人のように見える。
高校生の頃、"将来の夢は?"という質問が苦手で「30歳になったら何してそう?」と、他人に答えを見つけてもらおうとしていた。知るかアホ!なんて言わずに答えてくれた友達よ、ありがとう。
それでも何とか進学した。大学は友達が沢山出来たし、いろんな人間が集まるから世界が一気に広がって毎日楽しかった。馬車ぐるまのように働いたこともあったし、"ガクチカ"で話せることも経験した。
そして最近、ようやく自分のやりたいことが明確になってきた。イケる!遅れてしまったけれど、これなら私も"そっち側"の人間になれる。この流れなら、私もいつかきっと…
あれ。
飛び上がるほど嬉しいはずなのに、何だかしんどくて身体が起き上がらない。ただ座ってるだけなのに、動悸がして落ち着かない。
あれ?
何でやりたいことを見つけたかったんだっけ。希望があれば、確証があれば……何だ?
ボロボロになった自分を鏡で見て、ようやく気付いた。
私は、誰かから普通の人間だと認められたくて、何かに許されたくて、その言い訳に"やりたいこと"を探していたんだ。だからこう、いとも簡単に崩れ落ちる。
夢を語る友達が眩しく見えたのは、正面から自分と向き合って、信念を通した生き方をしていたからだ。ありきたりの言葉で薄っぺらく感じたかもしれないが、生きていく上でこれに勝るものはない。そうだ、そうだったんだ。
「なりたい自分になるために、手段を見つけた」「自分で見つけて出した答えだ」…良く言おうと思えば、いくらでも出来る。
けれど、ここで納得してしまえば、その言い訳を一生かけて繰り返し使うことになる。誰かに許してもらえるように、何度も何度も…
もうやめよう、何かになろうとするのは。
ようやく私は"私"と話すことを選んだ。他にもチリツモで苦しいこともあって、少し疲れた。だから休みながらでいい。自分を否定することはもうやめて、少しずつ会話をしていこう。
タラタラと話してしまったけれど、もし、同じことで悩み、必死に答えを探してる人がいるなら言いたい。いや、大したことも言えないし、変わるきっかけを与えようとか、そういうのも出来ない。ただ、何よりも自分を大事にしてあげて欲しい。ご飯を食べて、お風呂に入って、横になろう。
少しずつで大丈夫。私も昨日お風呂に入らなかったんだし。それでもいつか自分に"ありがとう"と言ってもらえるから、安心して眠りましょう。
それか深夜にラーメンでも食おうぜ!
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