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#1_3 アイドルと顔(顔がいいから好きの賞味期限)

#1系統では「アイドルとは何か」をもとに、アイドルの歴史や存在意義みたいなものを深掘りしつつ、その価値提供、顧客体験の本質を探索していきたい。前回の記事ではアイドルの体験価値を再分化した。


本投稿は前回細分化した要素の中で、「顔」を取り上げていきたい。

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疑似恋愛における「顔」の重要性

誰が何を言おうと、オタ活においてアイドルの「顔」が重要でないというのは不可能に近い。
「可愛いから齋藤飛鳥が好き」
「(対バンにて)あの子可愛いなチェキ撮りに行こ」
などからも見れる通り、アイドルを顔から知る、好きになることは多くあるし、なんならそれがほとんどであると言ってもいい。
これは主にアイドル推し≒疑似恋愛という構図が影響している。もちろん全ての推しが同じ構図ではないが、やはり女性アイドル→男性オタク、男性アイドル→女性オタクへの疑似恋愛の提供が多く見られることは、この世界に足を踏み込まない人でもご理解いただけるだろう。

顔が売りだったアイドル

となると、自ずと多くのアイドルが「顔」を重要視する、コンセプトに加えるところが出てくる…と思いきや、実際にアイドルで顔を押し出しているところは近年減ってきている。(正統派とかはあるが、美少女とかを超えるコンセプトはあまり見ない。)
アイドルの顔の変遷は他の章に譲るとして、ここではアイドルの顔がコンセプトに入っていたり、大きな影響をもたらしたものをいくつか紹介する。なぜか有名どころが多くなるが。

乃木坂46

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現在最強のアイドルグループで、おそらくどのアイドルオタも乃木坂を超える顔面を揃えるのは難しいと思う(平均するとわからないが)。
ただ、この乃木坂も元を正せばAKB48のライバルとしての立ち位置だった。ここで大きく関わるのが、AKBの「クラスで3番目に可愛い子」と言うコンセプトである。実際のところそれは都市伝説であるのだが、ただやはりそう思わせるほど親近感を出させたい→絶世の美女ではなく身近な可愛いを作り出していた。(だから、結構AKBは可愛くないという発言も目立った)
ここに公式ライバルとしてカウンターカルチャーで仕掛けてきたと捉えるのが適切だと考える。すなわち、いままで親近感を重視していたものを、あえて逆張りで顔が可愛い・綺麗にシフトした。アイドルがカウンターカルチャーの一部と言われるだけに、大きな反応があったのはいうまでもない。

夢みるアドレセンス

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博報堂の社内起業からできた(らしい)という変わった出生のアイドル。「カワイイだけじゃダメなんですか!?」を合言葉に、全員のモデルレベルの顔の良さで話題をかっさらった。当時の地下アイドル界隈では群を抜いた顔の良さだったが、少し強気な価格設定などでファンを獲得しきれなかったという印象がある。

まねきケチャ

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現在はシンガーソングライターの藤川千愛による圧倒的な歌唱力も魅力だが、やはり夢みるアドレセンス同様その顔面の高さで話題となった。
雑誌では「顔面偏差値モンスター」の異名を持ち、3周年では武道館まで立った(地下アイドルでは珍しく、女性アイドル3番目の早さ)。
近年ではアイドル業界とのニーズのずれが見え始めているが、その顔面偏差値の高さは健在である。

26時のマスカレイド

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プラチナム事務所が強い読者モデル7人で結成したアイドルグループ。日テレでの地上波番組、来栖りんや吉井美優の積極的なメディア進出もあり、今さまざまな著名人からの支持もある、最も勢いのあるアイドルの一つ。
読者モデル出身というだけあり、顔面の高さから女性ファンも多く獲得している。

推しの「理由」の細分化

さて、一般的にここで推しの理由を細分化していきたい。
ここに、理由は2つに分類できると考えられる。

1つ目は「好きになる」理由
例えば好きなブランドを応援し始める理由は「嵐がCMに出ているから」「デザインが格好いいから」「なんか値段が高いから」など様々である。
これは短絡的ともいえるが、同時に意図的に作り出せる良さとも言える。どちらかと言うと話題の切り貼りなどであり、例えばコラボなどもそれにある。
ただ、短絡的とある通り、この理由はいずれ飽きがきてしまう。嵐ファンが永遠に「嵐が出ているからJAL」とはならないし、デザインがさらに格好いいものが出れば簡単に他所に取られてしまう。

2つ目は「好きであり続ける」理由
例えば好きなブランドを好きであり続ける理由は「このブランドは信頼できる」「このブランドは高校時代からわたしの成長のお供」「このブランドのコンセプトに共感した」など様々ある。
これは長期的な関係性であり、同時に意図的には作り出せない良さとなる。どちらかと言うと消費者がブランドの芯を味わい、自分の生活を豊かにするものであるといえる。
長期的とある通り、この理由はあまり飽きがこない。生活に根を張るレベルでブランドが浸透している時、ブランドから離れることは難しく、信頼を裏切らない限りファンはそのブランドについてくる。

顔は推しの理由になるか?

ここで、本議題の「アイドルと顔」を見ていこう。
アイドルを疑似恋愛や応援コンテンツとする時、やはり顔は「好きになる理由」であって「好きであり続ける理由」にはならないと考えられる。

先程の顔が理由で推した理由は主に推し"始めた"理由である。これはもちろん重要であるし、逆に推し始めた理由の多くはやはり顔である。
しかし、顔だけでファンが恒久的に離れないとは言えない。アイドルはいずれか老けていく。その中で顔だけではない応援の理由を築いていけるかが重要になる。

いずれにしても顔がいいから好きの賞味期限はそこまで長くない。

続編はこちら

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