魔法

2月の最後に、冬のうた




ぎこちない心を 変わらない日々で繕う
安らかな花弁が また一つ落ちた

家事の一つですら
半端なまま鍵をかけた
泥混じりの雪道を重く進む

改札の奥 時を燻る
散らす指先に何を願う
貴方を問う 嘯き呑む
手袋してないのはわざとなのにね

目も合わないで 歩幅だって 違うまま
まだ酷く手は悴んでいる
行かないでって言えなくて張り裂ける思いが足りないのは
何処なんだろうか

逆らえない痛みが 押し寄せる愛の中に
魔法なんてものを 信じ込んでいた
今此処にあるのは 絶えず悩む優の形だ
光をただ奪う 呪いの様な

画面の奥 時を燻る
沈む独白に何を思う
貴方を乞う 分かっている
既読つかないのはわざとなんでしょう

また嘘になって 憂となって積もるだけ
足跡の付かない雪道
ただ夜になって 明日になって過ぎた思いですら
暖めるほど 凍えるだけで

ありがとうが言えなくなって
謝ることが得意になった
そんな特技は求めてなんかなかったよ
誑かす夢の輪郭に
私はもういなかったんだね
私はずっと誰を描いていたんだろう

また嘘になって 憂となって積もるだけ
足跡の付かない雪道
ただ愛した 貴方の 記憶も手のひらも
暖めるほど 凍えるだけで

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