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アプリストアをめぐる問題点 3

さて、前回の続きでその3です。

本題に入る前に、前回ちょっと触れたこちらの件、その後すぐにまた動きがあったようです

アプリ内課金をちゃんと装備しろ、と言ってたのが、やっぱりしなくていい、ということになったということです。

さて、今日の話は、Yahoo!のゲームプラス についてです

2017年7月にリリースされたのですが、発表会は華々しく行われていました。

これが何かというと、ゲームプラットフォームで、インストール不要のHTML5やクラウドゲーム向けのプラットフォームです。PCでも、スマートフォンでもブラウザを使えれば、利用できるものとなっています。

つまり、iPhoneにApp storeからゲームアプリをインストールしてゲームをしていたのを、App storeを通さずにゲームができる形になった訳です。

もう1つ「技術の革新」として,ブラウザ上で動かせる3Dグラフィックスのデモが披露された。HTML5の技術発達により,ブラウザ上でもネイティブアプリと遜色ない品質のゲームを提供できるようになったと語る脇氏だが,正にそのとおりであった。壇上ではスマホ向けのリッチゲームのような3Dアクションゲームが,まったく違和感なく動作していたのだ。

このように、従来のブラウザでは実現できていなかったiPhoneアプリ並のゲームの操作性が可能になったことから、Yahooが満を辞してこのゲームプラットフォームをリリースしたのでしょう。

これに関して、当時は期待を込めて色々な記事が取り上げています


このように注目されてスタートを切ったゲームプラスが大きな成長をするのかと思いきや、その後あまり流行っているという感じではありませんでした。

それは何故だったのか?

ゲームプラスの発表から約1年ほど経った頃、日経にこのような記事が出ました。

(有料版なのを配慮して、全文の開示はしませんが、一部を引用します)

スクウェア・エニックスなど52社が参加を表明。賛同するゲーム会社はさらに広がりそうな情勢を見せていた。ヤフーの利用者数は月6千万人を超す。検索履歴や広告、決済情報と組み合わせ、関連グッズの販売や新作開発でも各社を支援できる。将来的には業務用などゲーム以外のソフト配信も増やし、日本独自の「データ経済圏」に育てる計画だった。
だが構想は急速にしぼんだ。ヤフーは昨秋、突如としてゲームプラスの予算を縮小。いまは広告や販促もほとんど停止した状態だ。スクエニもゲームプラス向けに開発した完全新作を投入したが、今年4月に提供を打ち切った。
危機感を持ったアップルが圧力をかけ、顧客誘導や投資の縮小を迫った疑いがある。ヤフーもアップストアを通じてアプリを提供しており、アップルに収益の一部を依存している。「アップルから取引を拒否するという非公式の圧力があり、投資を止めざるを得なくなった」。ヤフーは複数の取引先に説明している。

先ほども述べたように、このゲームプラスを使えば、スマートフォンユーザーであっても、アプリストアを通さずにゲームプラス経由でゲームを利用でき、アイテム購入なども、ゲームプラス上で行われるため、App storeの課金システムを使わなくても済むことになります。逆に言うと、みんながゲームプラスでゲームをして、アイテム購入すると、Apple側にはお金が入らないことになります。

そのため、Apple側としては、自らの収入源がなくなるような施策に動いている会社に圧力をかけてやめさせた、と言うところでしょうか。

Yahoo側もAppleが何かしらの動きをしてくることは想定はしていたのではないかと思うのですが、それでも、やはり、ゲームプラスの拡大施策をやめざるをえない状況になってしまったと言うことでしょうか。

これに関連して、こういった記事も出ています。


結局、そのあともゲームプラスは大きく流行ることはなく、残念ながら、2020年9月に終了することがアナウンスされています。


記事中にもあるように、Appleが妨害工作をしたと言う明確な根拠は表には出てきてはいないため、ここで、Appleが悪い、と言うことはできません。しかし、伝聞的にせよこのように語られていることは何かしらの行為があったのではないかと推測されます。また、実際にそういったことを行っても不思議ではないとは思います。

ビジネスにおける競争では当然、競合相手の弱みをつくと言うのはある意味当たり前の戦略と言えるでしょう。

とはいえどこまでそれが許されるかと言う問題はまた難しいところもあります。

不正競争防止法や独占禁止法などの明らかに法令違反に該当するような行為とは行かずとも、道義的にどうなのか、と言うケースもあるでしょう。

最近では、アメリカの議会で巨大IT企業トップに対して公聴会が開かれるなどのこともありました。


また、日本でも5月に『特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案』が成立しました。

この法案が実際どの程度影響力を持つのかは現時点では不明ですが、巨大IT企業の規制の動きが、日本だけでなく、世界的にもどうなっていくのか、なかなか興味深いところです

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