養子縁組編 89回目 九拾壱

未成年者を養子にする場合、共同縁組が原則の民法ですが、

例外においては、単独でも縁組ができるとされています。

それが前回の日本人Aさんと外国籍Bさんと子供Cとの

例ですが、

基本的な考え方としては、「子の福祉」を考えた場合

共同縁組をすることで、より子供の立場を安定させることで

子の福祉にかなう事から共同縁組を原則としているわけです。

本来、未成年者であれば、家庭裁判所の審判を必要とする。

というのも

まだ、自分の意思による判断が未熟な未成年者の場合は

裁判所を介在させることで、本当に「子の福祉」にあった

養子縁組かどうかを第三者機関である家庭裁判所で

判断をさせるとして規定があります。

ただし、すべての事例において家庭裁判所が関与するのは、
非現実的ですし多くの場合は、配偶者の嫡出子であれば、

新しい家庭環境の元生活していくということであれば

とりわけ第三者機関の関与をさせずとも

問題がないという判断から、配偶者の未成年嫡出子に関しては、
養子縁組を認めているわけです。

今回の例外として、

日本人男がその配偶者の嫡出でない未成年の子を養子とする縁組について

日本人のみとの単独縁組が差し支えないとされた先例等として、

1 台湾系中国人女の嫡出でないことの養子縁組(「戸籍」誌533号42項「こせき相談室」)

2 カメルーン人女の嫡出でない子との養子縁組(平成3年2月18日民二巻1244号回答)

3 ヴェネズエラ国籍を有する嫡出でない子との養子縁組(平成3年7月10日民二第3775号回答)

4 タイ国人女の嫡出でない子との養子縁組(平成10年8月13日民二第1516号回答)

等があります。

(新谷雄彦 「全訂一目でわかる渉外戸籍の実務80項)