婚姻編 8回目 ⑫

前回までは、当事者の一方が日本人の場合でしたが、

「戸籍法」という法律によって、日本国内にいる外国籍の方でも

役所に提出しなければいけない「届出」というものがあります。

これは、外国籍単身者であっても、または、外国籍同士の夫婦、

外国籍のみの家族であっても法律が適用されます。

「外国籍同士なのだからあえて日本の行政に届出を出す必要はない」

と考えられるかもしれませんが、日本国内でおこる事象について

日本の行政がまったく関知しない場合、行政機能に支障が出ることも

ありますし、行政的な観点、国際的な責任から日本国内にいる外国籍の

方の「一定の」身分行為に関しては、日本の行政として公的に証明

できるようにする必要があるからです。

日本に入国して、「一定の在留資格」(一般的にはビザと言われている)

をもって日本に長期間いる外国籍の方には、「住所地」を住所の役所に

届出をする義務があります。

日本人も、引っ越しをしたら必ず市区町村の役所で転入届を

出すのと同様に、外国籍の方も住所が変更になった場合は、

その旨を役所に届出を提出しなければなりません。

これは、入管法という法律における義務ですが、

戸籍法という法律では、外国籍であっても日本国内に在住

する限りにおいて一定の身分行為に関する届出をするように

義務付けています。


・死亡届

・出生届


これは、外国籍の方において事象が発生しても日本国内に

おいては、外国籍同士の夫婦の場合であっても、その間に

外国籍の子が出生した時にも届出をすることになります。

外国籍同士の夫婦、家族で、死亡した場合にも届出義務が

あります。
さらに、外国籍同士の

・結婚

・離婚

・養子縁組

・認知

に関しては、届出をすることで身分行為が日本国内において

「有効に成立した」という公証の証明として利用することが

できます。日本以外での国において手続きをする際の証明書が

必要な場合などは、公証としての証明書を発行することが

可能になります。
本来、日本にいる外国籍同士の者の結婚や離婚は日本の戸籍には

なんらかかわりはありませんが、もし、本国で離婚後の親権や

監護権、財産分割、相続が発生した場合にいつの時点で結婚や

離婚が「日本で」成立していたか?

という法的判断が本国で必要になった場合に、日本の戸籍法に

おける届出をしていた場合、日本の公文書として、その

外国籍同士の夫婦における「婚姻」「離婚」の事実を証明

する事ができます。

ただし、あくまでも日本の法律における婚姻、離婚事実の証明

ですので、仮に外国籍の方の本国法において

「裁判所で判決を受けなければ正式に離婚が成立しないなど」の場合や、

「公的機関、宗教関係者の認定」など

本国法における手続き上の方法において正式なものとするための

様々な条件がある場合は、その本国法の方法によることになります。

外国籍同士で日本に在住している限りにおいては、戸籍というものは

それほど意識する対象にはなりづらいとは思いますが、

結婚や離婚など、その後に様々な人間模様の展開があった場合に、

いつの「時点」というものが公的な文書にて証明できることが

できれば問題が起きた場合も円滑に手続きが進むと思われます。

問題がおきないのが一番なのですが、そういった場合に限って

問題が起きるのが人間社会でもあります。