親子編 33回目 参拾六
ここで一旦言葉の意味の説明をします。
婚姻関係がある夫婦の間で生まれた子供は
「嫡出子」といいました。
そして、未婚状態で生まれたペアの子供は
「嫡出でない子」といいました。
色々な問題に直面するのは多くの場合「嫡出でない子」です。
そして、主に問題になる親子関係は父子関係です。
そこで、この「親子関係が発生する」と
判断する考え方には二つの考え方があります。
それが「事実主義」と、「認知主義」と言われるものです。
「事実主義」というのは、
血縁上の親子関係が認められれば直ちに法律上の親子関係を
認めるという考え方です。
これを父親、母親、両方同一に扱っている国もあれば、
片方だけという国もあります。
つまり、特別な手続きとか届出とかいらず、
子供が生まれてその子と血縁関係があれば、
当然にして親子関係を認めるわけです。
対して
「認知主義」というには、
日本でもよく聞く「認知」という意思表示をしないと
親子関係を認めないという考え方です。
この時の意思表示も各国によって方法は様々です。
日本の場合は、届出を出すことで意思表示を
したことになります。
もちろん、この考え方を父親、母親両方に
対して使っている国もあります。
では、日本は
「事実主義」なのでしょうか?「認知主義」なのでしょうか?
日本では、両方を採用しています。
「嫡出でない子」との親子関係を判断する場合
父親との関係においては「認知主義」
母親との関係においては「事実主義」
という二刀流で対応しています。
ここで出てきた「事実主義」
なんらの行為をしなくても親子関係を
認められてしまうわけです。
となると、父親となる男性がまったく知らないのに、
ある日突然、「あなたの子よ」と言われてしまうと、
強制的にその男性はその子供の父親になってしまう。
というちょっと昔の漫画やドラマのような展開もありえる
考え方になってしまいます。
もし、身に覚えない人
(血縁上ということがあるので、全く身に覚えない
というのはあまりないわけですが)
がいきなり「あなたの子」と言われてそれが
法律上当然に認められてしまうならば、
かなり怖い展開でもありますが、さすがに、
母親の申告一つで親子関係を認めてしまうというのは
乱暴なので、各国いろいろな条件はあるようです。
(同居している事実とか、公的機関の認証など)
認知というのは、本当にいろいろな人間模様が
でる部分でもあります。
人それぞれいろいろな人がいるので、非常に難しいのですが、
破天荒な生きざまの人もいます。
毎回違う人を連れているとか、この前と違う人と暮らしているとか、
なかなか波乱万丈な人生なのですが、
それでも本人一人ならいいのですが
本人以外が絡んでくると途端に問題が
難しくなることを物語るのも認知の一つかもしれません。