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第一章 入国・出国・ビザ・パスポート

◀プロローグ   第二章 英語でトラブル▶

ビザ取得 最初の難関です。

海外に長期滞在するときには、ビザが必要です。ビザなしでどれだけ滞在できるか、訪問の目的によってはビザが必要など、ビザについての知識は海外に行く人にとっては重要です。私はアメリカなどに長期滞在したことがあるので、ビザの取得は4回行っています。研究員としてアメリカの大学で働いたときは、ビザのタイプとしては交流訪問者のJ-1ビザでした。大学で勉強するために来ている周りの日本人の学生はF-1でした。J-2などのように2が付くのは、J-1ビザを取得した人の家族が取得できるビザです。目的によってビザのタイプが違います。留学などで海外に長期滞在するとき、まずはビザの取得が最初の大きな関門になるでしょう。ビザの申請には、海外の受け入れ機関からビザ申請の書類を送ってもらって、ビザの申請書に付けることが必要です。次に、渡航する国の大使館・領事館にビザ申請を行わなければなりません。私も初めて海外で働くためにビザを所得した時には、何もわからなかったため、かなり苦労しました。ビザ申請の書類の不備は絶対に許されず、不備があると申請が差し戻されます。例えば、出発日が差し迫っている時のビザ申請の差し戻しは、かなりの痛手です。どうしても一度で通したい、しかし、あまりわからないという人は専門の業者がいるので(費用は掛かりますが)、その人たちに準備書類を十分にチェックしてもらってから申請するのがお勧めです。特に家族と一緒に海外の長期滞在に行く場合には、様々な書類が必要になるため、かなり前もってやるか、あるいは専門業者にお願いするかになります。

海外旅行では必携のパスポート. 期限 10 年(赤)と期限5 年(紺)とがある

ビザを申請しに大使館に行くことは、まさに外国に行くことと同じです。日本国内ですが大使館内は外国です。アメリカの大使館は東京の赤坂にあります。行ってみるとまさに外国と感じるのは、日本の警察による、ものものしい警備です。ここでやりがちの失敗は、荷物を持って入ろうとしてしまうことです。警備の関係上、ちょっとした手さげバッグでもNGです。荷物を持ってきてしまった人は、ちょっと歩いて見つけにくい“コインロッカーに荷物を置いて来い”と高圧的に言われ、冷たく警備員にあしらわれます。さらに、荷物を置いてきた後には、また長蛇の列の後ろにもう一度並ばされます。ベストなのは、申請書類を封筒に入れ、小さな財布と携帯電話程度で申請に行くことです。荷物を持っていくのであれば、あらかじめコインロッカーに荷物を置いてから並ぶのが良いでしょう。私も実は初めての時にこの失敗をしてしまい、大変時間がかかってしまいました。例えば1時間待った挙句、大使館に入る直前のセキュリティーチェックの時になって、荷物の持ち込みはNGと言われてトラブルになっているところを結構見るので気を付けてください。皆さんは、“お客様、申し訳ありませんが、荷物をロッカーに入れてきていただけますか”のような日本の流儀の対応を想定していると思いますが、これは日本人的考えです。警備員が絶対権限者であり、私たちは、警備員に絶対的に従わなければならない状況にあります。基本的に海外に行くとこのような、日本的なお客様が私たちで、相手が親切に接してくれるということはありません。相手が上から目線の態度で、私たちは従う状況が多く出てきます。この大使館でのビザ申請で初めてこのような人との関係性が変わってくることが感じられると思います。

これにストレスを感じ、これが海外での生活なのだと感じてください。この感じ方は人それぞれなので、全然気にしない人もいると思います。その人は問題ありませんが、気にしてしまう人は、奴隷的な扱いを受けたという考えを持つのではなく、文化の違いであるということを認識して、このようなことにある程度慣れる必要があります。私が取得したことがあるビザは、アメリカの他に中国のビザがあります。中国のビザ取得は上述したような大使館に申請に行く方法がありますが、もう一つの簡単な方法があります。私が行った方法は、横浜の中華街の中にある華僑総会に行って、ビザの申請書とパスポート、さらにビザ申請費用と手数料を払えば、1 週間後に華僑総会に取りに行くとビザが受け取れます。アメリカのビザ申請を体験した私からすると、これで良いのか?というような簡単な取得方法でした。国によってビザの取得の仕方はそれぞれであるということを実感した例でした。


O-1ビザ お前は何者?

飛行機に乗って外国に着くと入国審査が行われます。ここから緊張がぐっと盛り上がってきます。この入国審査でも私は様々な経験をしました。アメリカの場合、アメリカ国内が経由地であっても(例えばロサンジェルス経由でブラジルに行く場合でも)アメリカで入国審査を受ける必要があります。アメリカ国内の旅行でも大きな空港に着くと入国審査があり、審査を受けてから国内線の飛行機に乗り換えることもあります。時間に余裕がないと、入国審査に時間を取られ乗り換えができなくなる等問題も生じ、さらにストレスを感じます。入国審査では審査官が何人かおり、それぞれのところにずらっと人の列ができます。人が少ない列に回ったりする人を良く見かけますが、列を移っても結局、前の人がビザの問題で時間を取ったりするので、すぐ抜けられるかは運次第です。ここは心を落ち着かせ、自分の番が来るのを静かに待つことが良いと思います。もし遅れそうであれば、列の整理をしている係員に、乗り換えに遅れそうだと言ってみると良いでしょう。係員は何時出発でどの航空会社なのかを見て判断し、間に合わなさそうな場合は優先ラインに誘導してくれます。私は入国審査には 2時間は掛かると考えているので、飛行機の乗り換え時間は最低でも 2 時間半の余裕を持って予約をします。話を戻しますと、私は入国審査を待っているとき、怖そうな審査官のところに行きたくないなと思い、列の後ろから審査官の態度などを見ながら、優しそうかな?、簡単に審査してくれる人かな? いろいろ質問してくる人かな?等ハラハラしているタイプです。私も結構小心者です。

さて、自分の番が回ってきました。私は入国審査を、おそらく50回以上は受けていますが、それでも緊張はします。皆さんも自分だけが緊張しているとは思わず、みんな緊張していると思ってください。パスポートと入国審査申請書を出して、にこやかにHi!と言って渡しましょう。どうせ質問は、What’s the purpose of your visit?(この国に訪問する目的はなんですか?)」とか Why are you here?(なぜここに来たんですか?)Business or pleasure?(仕事ですか、観光ですか?)とか、Are you here for business or sightseeing?、How long will you be staying?などでしょう。もし、皆さんが留学で入国するのであれば、 I am going to study English in UCAL などを答えれば良いと思います。私の友人で、研究発表のために学会に出席するので、滞在の目的を for business と答え、説明がうまくできずに別室に通され日本語ができる通訳が用意されたというようなことがありました。皆さんは、留学か観光で入国するでしょうから、「ビジネスのために入国」とは言わない方が良いと思います。

さて、ここからこの文章の題名である“O-1 ビザ お前何者?”のお話です。私は海外の現地企業で働いたことがあります。これは、私がリチウムイオン電池の研究者であったことによります。採用が決まった後に通常は労働ビザを申請しますが、すぐに働いてほしいということで、その会社が私にO-1 ビザの取得をするということを提案してきました。O-1 ビザは、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツにおける卓越した能力の持ち主、または映画やテレビ番組の製作において卓越した業績を挙げた人、ならびにそれらの遂行に必要な補助的な業務を行なう人に発給されるものです。私が想像するに、大谷やイチローなどもこのビザを取得して、メジャーリーガーとしてプレーしているのかなと思います。その後、グリーンカード(アメリカ永住権)を取得し、ビザが必要なくなっているかもしれませんが。このビザを私は2008年に取得しました。ビザは自分のパスポートに貼られます。神奈川大学に赴任してから少し経った後、アメリカに渡航することがあって入国審査を受けました。その時、入国審査官から、“お前何者?”と質問されました。なぜ?、と聞くと、“O-1 ビザを持っているではないか”と質問されました。“これなかなか取れないんだぞ”と言われ、“だから聞いたんだよ”ということでした。私はリチウム電池の研究者で現在は日本に戻って大学の先生をやっていると答えると、その入国審査官は「OK」と言って私のパスポートにスタンプを押してくれました。自分では気が付きませんでしたが、かなりの貴重なビザを取得していたことが分かりました。これ以降、入国審査で自分のパスポートを見せることにちょっとうれしさを感じ、また聞かれないかなと思っていました。パスポートは10年で書き換えになりますので、私のO-1ビザが付いたパスポートは残念ながらお別れになってしまいました。海外生活の唯一の自慢話です。

最後に、友人から聞いた話ですが、ビザやパスポートに押される入国スタンプに関してのトラブルです。例えばアメリカに入国するときに、アメリカに敵対するような国にたびたび入国しているなどのことがあれば、入国審査の時に結構時間が掛かるということをよく聞きます。実際に私の友人は研究に関する学会で中東のある国に行きましたが、その国の入国スタンプがパスポートに押されていたため、その国への渡航理由とアメリカへの渡航理由を詳しく聞かれ、かなり入国審査に時間が掛かったということです。アメリカの入国審査の係官に聞いたところによると、あまりに不明確であると入国できないこともあるという話をしてくれたということです。世界の緊張感が伝わる話でした。


もう少し入国審査の話

入国審査ではありませんが、アメリカにビザなしで入国する場合には、ESTA(エスタ)電子渡航認証システムでの登録が渡航前に必要です。アメリカを経由して第三国に行く場合にも、登録が必要です。渡航 72 時間前までに申請を完了するように推奨されています。私は忘れたことはありませんが、例えば、渡航しようと空港に行ってチェックインした時点で ESTA の登録がないので出国できないということになり、航空券を完全に無駄にしてしまいます。私はアメリカに行く人、周りでアメリカに一緒に行く人には常にESTA について忠告しています。ESTA の期限は 2 年間なので、一度申請をしてしまえばもし仮に申請を忘れていたとしても、有効期限内であればセーフになります。私は、やらかす寸前で気が付いた例があります。ESTAの有効期限が大丈夫だよなと考えていたのですが、どの時期にESTAを申請したのか記憶もあやふやで申請の書類もなかったので、念のためESTAの申請がインターネットで確認できるので、やってみたところ有効期限が切れているじゃないか!と冷や汗をかいたことがあります。当然、パスポートの有効期限の確認も必要です。パスポートのトラブルで頻繁に聞くのは、ビザ申請時のパスポートの有効期限です。ビザの期限より、パスポートの有効期限が長くなくてはなりません。

アメリカの入国審査は、何度やって緊張もします。何でそうなるかというと、入国審査の場所が大きく、多くの人が並ばされているからでしょう。特に東京などからアメリカに入国するときには、大きな飛行機で来るため一機で 500人もいたり、例えばアジアから来る飛行機は、ある時間帯に重なるので、数機飛行機の到着時刻が重なれば、1000人以上の人が入国審査に臨むので、人がごった返していて緊張感が増します。私はある時、乗り換えの飛行機が 6 時間後に出るので急ぐ必要はないと考え、飛行機を一番最後に降り、入国審査のところにかなりゆっくり行ったら、偶然にもほとんど入国審査場に人がいなく、ゆったりした気持ちで審査を受けることができました。もし飛行機を降りたところが最終目的地であり、時間の余裕があるのであれば、なるべくゆったりとした気持ちで入国審査を受けられるようにしてみるのも一つの手かもしれません。

他の国の入国審査の経験としては、中国、韓国、台湾、メキシコ、イタリア、フランスがあります。数は少ないですが、アメリカの場合と比べるとそれ程の緊張を感じることはありませんでした。ちょっとした経験を 2 つ紹介します。
一つ目は 2000 年初頭のアテネオリンピック直後にギリシャに行った時のことです。この時はイタリア経由でギリシャに行きました。イタリアで入国審査がありました。当初は、アメリカのように経由地でも入国審査を行われれるのであろうという考えで入国審査を受けました。乗換便をかなりの時間待った後に搭乗して、かなり遅くアテネの空港に到着しました。baggage claimにおいて預けていた荷物を受け取ろうとしましたが、荷物がなかなか出てきません。ようやく出てきたころには、人はいなくなってしまいました。荷物を持って、人々が出て行った方について行くと驚くことに飛行場を出てしまいました。あれ?入国審査はどこだと、振り返って飛行場の中を見返してしまいました。これはなぜだと思いますか?確かめてはいませんが、私がEU(欧州連合加盟国)の中に一度入国(イタリアで入国審査を)したので、入国審査がなかったのではないかと思っています。よく考えてみると、どこの空港でも通常は入国審査後に荷物を受け取るというシステムになっているので、飛行機を降りてからすぐに荷物を受け取る場所に到着したのは、明らかに入国審査が無い国内線を降りた時と同じシステムですね。

二つ目は入国審査ではありませんが、メキシコで見た入国審査後の荷物を受け取るところでの光景です。通常は荷物を受け取って、荷物の持ち込みの書類を出して、OKを受ければ空港の入国審査ゾーンを出るわけですが、メキシコではボタンを押せと言われて、言われるがままに押しました。ただ押しただけで何も起こらなかったので気が付きませんでしたが、そこを通った後で、同行した人を見ると横で荷物チェックを受けていました。よくよく見てみると、荷物チェックをすべての人にやっていると大変なので、そのボタンを押してはずれが出た人だけ、荷物チェックを行うシステムでした。メキシコと言えば、麻薬など怖い国ですが、持ち込みチェックでくじを引かせるというシステムを使っているのがおおらかで笑ってしまいましたね。


飛行機の中でやっておくべきこと

飛行機に中でいかに快適に過ごすかを考えて、到着までにやっておくべきことを紹介したいと思います。まずは入国審査用紙の入手と記入です。飛行機に乗って少し経つとキャビンアテンダントがこの書類を配りに来ます。その時に Visitor(訪問者)の書類をもらいます。本国に帰る人も書類を書く場合がありますので、2 種類配っています。該当する方をもらって記入します。この書類は着陸前にもう一度必要な方いますかというような感じで配りますが、私は始めにもらって記入して、その書類をパスポートに挟んでおく派です。この書類の中に入国のために乗ってきた飛行機の便名を書く欄があります。搭乗券を確認して、飛行機の便名を書きます。例えば、ANA345 のような便名です。よくわからずにあたふたしている人を時々見ます。もう一つは、滞在先の住所です。ホテルに滞在するのであれば、ホテルの住所を正確に書かなければなりません。ここが書かれていなかったり、記入が不十分であると、入国審査で加筆を求められたり、いろいろ質問されていたりすることがあるので、ここはきちんと書く時間を取って記入し、私は睡眠に入ることにしています。

この入国審査用紙の記入に関して、私が体験した面白い話を紹介しましょう。日本からアメリカに入国するときには、この書類は日本語版と英語版があるので、英語が分からない人も記入することができます。もちろん、日本語での記入は NG ですが。私がメキシコからアメリカに入国するときのことでした。当然、アメリカの入国審査用紙に記入を行わなければなりません。入国審査用紙は、通常英語版も用意されているのですが、しかし、不運なことにその飛行機には英語版がもうないとキャビンアテンダントが言ってきたのです。私は何とか記憶を頼りにスペイン語の審査用紙に、「多分ここには名前を書くんだろうな」などと思いながら記入していましたが、あまりに不安だったので隣の人に聞いてみると、私もスペイン語はわからんということなり、隣の人がさらにその隣の人に聞いてくれました。英語とスペイン語が両方できる人が、ここは住所だ、飛行機の便名だ、入国するときに別便で送った荷物があるかどうかだ、など教えてくれて、周りの人を巻き込んだちょっとしたアットホームな感じになりました。最初はドギマギした気分でしたが、勇気をもって話しかけたことで、世界を旅する旅行者として、愉快な人達に出会え、幸せな気分になれました。

もう一つのやることは、寝て体力を温存することです。飛行機の中は外国ですが、まだ周りに日本人は少なくともちらほらいます。キャビンアテンダントの中にも日本語が話せる人が乗っています。しかし、目的地に着いた後は、国内線に乗り換えたら日本人は誰もいない状況になります。空港を出て街中に出ても、目的地の滞在先に着くまでにはまだ相当時間がかかるかもしれません。最近は、スマートフォンなどの機器を用いて飛行機内でゲームをやってみたり、映画を見たりすることがでるので、それらでリラックスすることも必要でしょう。機内でいろいろな人を見てきましたが、長い時間を、機内で快適に過ごすには、まず寝ることだと思います。皆さんもアイマスクや首に着ける空気枕は必須でしょう。時々、本当の枕を持ち歩いている若い人を見ますが、あれはその枕でしか寝られないから持ち歩いているのかなと考えています。

飛行機で必需品のアイマスク

最後に機内での珍しいお話です。私がアメリカの東海岸から西海岸に移動する時でした。飛行機に盲導犬を連れた方が搭乗されて、私の隣に座ったことがありました。盲導犬を連れて行かないとその人は不便ですので当然、飛行機への搭乗は問題ありません。しかし、犬は動物なので5-6時間かかるし、空の上で鳴き出したりしないのかなと少し心配でした。が、盲導犬はその方の足の付近にきちんと丸まって、5-6時間じっとしていたのには感心しました。キャビンアテンダントの方々が時々来て、問題ないかを聞いているところが非常に普通のやり取りで、アメリカの懐の深さに感心しました。私はと言いますと、その犬のしっぽでも踏んでしまっては大変と行動には気を付け、いつもの私でいました。盲導犬を連れた方も搭乗は慣れていたようで、何かあれば手助けしなければと注意していましたが、何もなく、話もできずに飛行機を降りていきました。


飛行機の乗り換えをスムーズに

空港内の電子掲示板出発時間、出発ゲートは突然変更になることがあるので、注意してこまめにチェックしましょう

飛行機で海外に行くときは、大体、海外の大きな空港に経由地として到着し、その後、その国の国内線で最終目的地に行くルートを取ります。逆に日本に帰国するときには、滞在中の小さな空港から国際線で大きな空港に着き、国際線に搭乗して日本に向かいます。私が飛行機の乗り換えで、かなりやばい体験をしたのは、当時住んでいたニューヨ ーク州イサカからシカゴ経由で日本に帰るときでした。12 月の中旬の朝の移動だったので、イサカの空港からのフライトが滑走路の凍結でかなり時間が掛かり遅れました。イサカから飛び立った後で、同乗している人たちがキャビンアテンダントにフライトの遅れを話しているのを聞いて、私もやばいなという考えが盛り上がってきました。私もキャビンアテンダントにとりあえず、東京に行くフライトが何時にあるんだけれども大丈夫でしょうかということを相談しました。乗換便も同じ航空会社のフライトだったので、ちょっとでも待ってもらえるようにしてくれるかなと淡い期待を持って話をしました。キャビンアテンダントの方は大丈夫ですと言ってくれましたが、心が休まらないフライトでした。当時はまだスマートフォンなどが無く、シカゴの情報をネットから検索ができなかったので、座席の前にある雑誌の中のシカゴ空港の配置を見て、シカゴ空港に着いたら、すぐにフライト情報を確認し、的確に出発ゲートに移動しようと考えました。実際に到着して、フライト情報を見ると、国際線のターミナルへの移動が必要で、それにはモノレールに乗って、数個先のターミナルへ行かなければなりません。どのように行くかは自分でもある程度は機内の雑誌のページの情報で確認しているのですが、間違えると致命的な状態に陥る(飛行機が飛び立ってしまう)ので、近くにいた空港係員にもう一度確認して、自分のプランと同じなので、後はできるだけ早く出発ゲートまでなんとか移動することを考えました。国際線のターミナルに入ってからは走って走って目的のゲートまでたどり着きました。その便は、ユナイテッド航空と皆様おなじみの ANA の共同運航便で、私が走って機内に入った時に日本人のキャビンアテンダントからお待ちしておりましたと言われたのが非常に感動的でした。片言の英語でどうにかこうにか危機を自分の力で脱出できた先に日本人が待っていてくれたことがうれしかった、というお話でした。

搭乗する予定の飛行機を見て、ちょっと緊張感が高まってきます

次に乗換便に関しての最近の話題を紹介します。最近、私はアメリカなどの長距離の海外旅行に行くとき、航空券の費用を安くするために、一度、中国の北京や上海、韓国のソウルなどに一度行ってから、そこからアメリカに向かったりします。一つフライトが増えるので費用が高くなるようなイメージですが、実際には時間は掛かりますが、目的地に行くための費用は安くなる場合があります。この場合、乗継便が都合良くある程度待てば出発するなどということも少なく、経由地でかなり滞在しなければなりません。このようなときにどのように過ごすかが問題になりますが、若い時は、飛行場の中でくつろいでいられるような場所に行って寝ていたりすることもありましたが、最近は年を取ったので、ラウンジで過ごすようにしています。ラウンジでは、くつろぐことができて、飲み物やちょっとした食べ物も提供されています。ラウンジもいろいろあって、航空会社のラウンジやクレジットカードのゴールドカードなんかを持っていると入れたりします。グレードによって飲み物だけであったり、シャワーが浴びられたり、軽食が取れたりするものもあります。大体、航空会社のメンバーズカードやクレジットカードなどを見せることによって入れるので、私は飛行機への搭乗前に時間があるときには、ラウンジを探して、入り口でメンバーズカードやクレジットカードをいくつか見せて、Can I enter with these cards?と聞きます。持っているカードでは入れない場合もありますが、ここには入れないが、向こうのラウンジでしたらこのカードで入れると教えてくれる場合もあります。経由地でかなりの時間を要する場合には、そこのラウンジの情報をもとに、ラウンジに入れるカードを準備することもあります。中国でのラウンジでの面白話を一つ。中国を経由してアメリカに行くとき、中国の北京で9 時間の滞在をしなければなりませんでした。それも夜中の 12 時から朝の9 時まででしたので、これはラウンジを使わないと、その後の 13 時間のフライトで大変なことになると思い、シャワーや軽食が取れる、かなりハイグレードのラウンジに入りました。夜中のうちは大勢の人がラウンジを利用していましたが、午前三時を過ぎると人がまばらになり、いる人も寝ているので静かになりました。私は人がいなくなったのを利用して、シャワーを浴びようとシャワー室に行きました。そこにいた管理人の中国人のおじさんとの楽しいひと時が非常に面白かったでのす。中国人のおじさんは英語はできませんし、私は中国語ができないので、この二人には全く共通言語がありませんでした。お互い身振り手振りで、シャワーを使いたいんですけど?いいよ、ちょっと待って、バスタオルいりますか?シャンプーいりますか?と聞かれ、シャワーを使い終わった後は、くしや歯ブラシは使いますか?などを、まさに身振り手振りでコミュニケーションを取りました。あまりに親切にしてくれたので、持っていたお菓子を渡しに行ったら、逆に中国の食べ物をいただいたり、夜中の国際交流をしました。働いている人にも敬意をもって接することで新しい交流ができます。世界は広く、例えば、トイレを出るときにタオルを渡してくれるだけの仕事をしている人もいます。そのような方にもきちんとした態度を取ることで、お互いが気持ち良く過ごせるようになります。皆さんも世界では礼儀正しく、他人を尊重した態度で接してください。


出国あるある

次に私が主に体験した出国時の失敗あるあるを紹介します。まずは航空券の手配での失敗です。航空券を買うときには、飛行機に乗る人の姓名と生年月日の登録が必要です。都合がつかなくなって行かなくなったから、突然、飛行機に乗る人を変えることはできません。この姓名と生年月日が重要で、私の知り合いがやらかしてしまった失敗は、姓名を逆に登録してしまったということです。当日まで気が付かずに、搭乗券を受け取るチェックインカウンターで間違っていることを知らされ、日本から出国はできるが、目的地の入国審査で入国を拒否されることもあるということを言い渡され、どうなるかわからないので旅行を取りやめた人がいます。皆さんも First name (名)と Family name (姓)の記入には十分に注意してください。

次に、私がやった初歩的な間違いです。初めて友人と海外旅行に出かけた時の空港での失敗です。羽田空港、成田空港などの大きな国際空港は、複数のターミナルがあります。私は初めて海外に行くときにこの概念を知らず、電車で行ったときに最初の成田空港〇〇ターミナルで降りました。そこでいくら探しても乗る予定の航空会社のチェックインカウンターがありません。係の人に聞いてみると、航空会社はターミナルごとに分かれており、私が搭乗する飛行機の航空会社は他のターミナルにあることが分かりました。また、電車に乗るのかと嘆いていると係の人がターミナル間を移動する無料のバスがあるのでそれで移動できますと教えてくれました。これ以降、ターミナル間のバスがあることが頭に残り、海外の空港でこれに搭乗することを覚えることができました。失敗も、ものを覚えるには有効な手段ですね。ターミナルと言えば、韓国で面白い失敗をしました。これも若い時の旅行の話です。空港には Domestic terminal (国内線ターミナル)とInternational terminal(国際線ターミナル)があるということを覚えておいてください。現在の羽田空港は、国内線ターミナルと国際線ターミナルがあるので、これが良い例です。韓国の済州島に観光で行くときに、まず釜山に行ってから国内線に乗り換えるルートを取りました。釜山の空港に着いてから乗換便の搭乗場所を探しましたが、全く見つけられません。係員に聞いたのですが、こちらは韓国語はできませんし、片言の英語で話されても良くわかりませんでした。ただし、Domesticという言葉を言っているのだけが認識できましたが、友人とDomesticって何なんだろうねと話していました。あっちに行けというような身振り手振りに従っていたら、空港を出てしまいました。路頭に迷っていると、10 分ぐらい歩いた先に Domestic と書いてある大きな建物を見つけて、あれじゃないと思い行ってみたところ、搭乗予定の飛行機の情報を見つけることができました。この期に及んでも Domestic の意味は理解できておらず、後日、国内線ターミナルであることが分かりました。最近は、国際線、国内線を区別せずにすべての情報が表示されるようになり、国内線と国際線のターミナルも電車やバスで簡単に行き来できるようになっており、一つの空港の中でターミナル間を移動する概念は出来上がっていますが、30 年以上も前で、私も英語などもほとんどできないときでしたので、大変な思いをしました。

最後に私が航空券を受け取るときのチェックインの時に必ずやっていることを紹介します。私は、結構頻繁にトイレに行く派なので、飛行機の座席を取るときには通路側を取るようにしています。ずっと眠っていたいという人は窓側を取ることをオススメしますが、私は必ずチェックインの時係員に、I would like to get an aisle seat と頼みます。窓際はWindow seatです。また、なるべく飛行機の後ろ側の席を取ります。飛行機が着陸したら早めに飛行機から降りたいということで前方の席を取りたがる人がいますが、そのような傾向が強いため、座席が満席でないときには、後方に空席が出る傾向にあります。この空席を使えると、飛行機の中でのストレスな時間を結構減らすことができます。私はそれをいつも狙っています。ただし、席を移るのは禁止とされているので、飛行機が飛び立って、シートベルトを外すサインが出た後、キャビンアテンダントの方に了解を得てから移動することが必要です。勝手に移動してトラブルになる事例が結構あります。

日本からの出国の話をしましたが、最後にアメリカからの出国の話を簡単にします。本当に簡単です。日本人が日本から出国するときに検査官から出国スタンプをもらうのですが、アメリカから出るときにも同様です。私はよく思うのですが、入国はあれほど検査しているのに、出るときはまさに“去るもの追わず”ですね!という感じです。まったくストレスは感じません。日本に帰ることが非常にうれしくなります。日本に帰国する飛行機の搭乗口に来ると日本人も多くなってくるので、日本が近づいてきたなという感じで、毎日緊張していた気持ちが徐々にリラックスしてきます。日本の飛行場に着くと、まさに自分の家に着いた感じで、適度な水温のお風呂にリラックスして入っているような感じになります。短い海外旅行でも感じますが、これが 1 年間海外にいた後に帰ってきたときには本当にこんな感じです。

◀プロローグ   第二章 英語でのトラブル▶

松本 太
工学部・電気自動車専用リチウムイオン電池、燃料電池