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同人誌即売会へのサークル参加は必要か

くわい屋です。
投稿前に結野ともえさんに軽く校閲してもらってます。

こちらの最後に書きましたが、そもそも「イベント(同人誌即売会)」にサークル参加した方がいいのか、という事ですが。

売上視点

「売上」と言うと「二次創作で利益を得るなんてとんでもない」という人が出てきますので、先に断っておきます。
あなたが思うような利益は簡単には出ません。一部の壁サークルに出来ている行列を見て、全ての二次創作商品が莫大な収益を得ていると思うなんて偏見以外の何物でもないです。
そう思うならまずご自身が即売会に参加して絵や漫画を作り、売ってみて、実際にどうなのか試してみるべきです。

売上を考えると、現状ではコミケとコミティア以外は厳しいです。
とにかく本が売れません。
そもそも来場者が少なすぎます。
コロナ以前からコミ1もサンクリもそれほど本が売れるイベントではありませんでしたが、一般入場も有料になったことで更に本の売り上げは減りました。
グッズが売れればそれでもいいのですが、来場者自体が少ないのでそれも難しいです。
コミケ・コミティア以外に参加する場合は売り上げが少ない事を覚悟しましょう。

イベント参加に必要な金額はサークル参加費+郵送搬入(ある場合)+自分の交通費や宿泊費です。
もっとも高額なコミケの場合はサークル参加費8000円、本を郵送する場合は段ボールの大きさにもよりますがB5の本を数種類でそれぞれ数十冊とすると2700円(端数切捨て)、自分の交通費です。
会場となるビッグサイトへ安価で行ける人は少ないでしょうから片道1500円とすると、往復3000円です。
ここまでで総額13700円です。更に現地で飲み物や軽食を購入する人もいるでしょうから、男性で1000円は少なくとも必要でしょうか。
単身で参加する場合はこれで十分です。
しかし、実際に一度でもサークル参加したことのある人は分かると思いますが、自分以外の「売り子」は可能な限りいた方がいいです。
自分がトイレへ行きたい場合、スペースに商品が並んでいるのに誰もいないという状態になるからです。当然ですが物が無くなるリスクが跳ね上がります。
特にコミケの場合は男性トイレに行列ができますし、自分のスペースからトイレへ距離がある場合、悪い場合20分とかかかります。本当に。
トイレ自体が混んでなくても通路に人が溢れていて至る所で渋滞が起きています。
「信頼できる売り子」がいれば心強いです。自分が買い物に行く時間もできます。
多くのサークルはこの「売り子」に謝礼として給料を払っているかと思います。
この売り子の費用も必要です。
そうなると二万円で収まれば安い方でしょうか。
二万円は500円の本40冊分です。

イベント会場で本が40冊売れるというのは、企業依頼を受けられる画力のあるような中堅サークルです。少なくとも私はそう思います。
なので、イベントに出る目的が「売上」のみの場合、そこに掛かる時間と労力、そして備品(敷き布、商品展示用の卓上棚、ポスタースタンド、小さい椅子、お釣りとお金入れ)を購入し年に数回のためにずっと家に置いておくことなどを考えると、決して効率は良くありません。

もっと書くと、二万円で済めば安い方です。
椅子がスペースに二個欲しい場合は会場で800円くらいでレンタルするか自分で折り畳み椅子を持ち込むしかありません。
あと先に書いた本の送料2700円は「片道」です。
今はメロンブックスやとらのあなが会場回収をしてくれたりします。
次のイベント会場へ本を運んでくれる「HakoBook」とかも便利ですがお値段はそれなりにします。
とにかくイベントは大変です。

一般入場者視点

私自身が同人誌即売会にサークル参加ではなく一般で参加したことが殆どないので私の予想と私が聞いた噂の域を出ない話になってしまいますが、私が感じた事、同人やってる友人から聞いた事、SNSでもそんな投稿を見たので書きたいと思います。

今でこそマスクをする人はかなり減りました。
しかし、人々の感染症に対する認識というか感じ方は2020年を境に大きく変わったかと思います。
感染を避けるために、手洗いやマスクはともかく、人混みへ行かないようにしたり、行っても滞在時間を短くしたり。
同人誌即売会では、これが「事前に調べた自分の欲しい物だけ買ったらすぐ帰る」という感じです。
また、個人間取引が簡単にできるようになり、「転売」も目立つようになりました。
結果、「イベントでしか買えない物や欲しい物が無いか探す人」、「会場の中をなんとなく回遊する人」が減っているように感じます。
コミケ・コミティアはこのような人が比較的多いのです。

また、どの記事でも触れていますが、日本人が娯楽に使えるお金は減り続けています。
一年のうち、給料の実に半分近くを税金として国に強制的に徴収されます。
となると、特に東京では同人誌即売会が毎月のように開催されますので、それらの全てに参加する事は難しい人が多いのではないでしょうか。時間的にも。
コミ1やサンクリには公式の限定商品があるわけでもありません。そこに生活を切り詰めてまで普通は参加しないでしょう。それなら交通費や入場料を公式に課金すると思います。
この点、コミケには企業ブースがあり、コミティアは一次創作オンリーですので、コミ1やサンクリには無いものがあると言えます。
コミ1やサンクリはやはり「二次創作」のイメージが強いのか、オリジナルはあまり売れません。

これをサークル側から見ると、やはりイベントって出る必要があるのか疑問になります。
売れるのはSNSで既に有名な人だけ。新規顧客も見込めないとかイベントに出る意味あるのでしょうか。

同人誌即売会は「交流の場」

今の40代以上の人なら「イベントは交流会」という意義が非常に強かったのをご存知ではないでしょうか。
いまでももちろんそうですが、インターネットが普及する以前の同人誌即売会は「同じ趣味を持つ人が集まる数少ない貴重な場」でした。
特に交流したい人がいないなら、多大な労力をかけてイベントに参加しなくてもいいと思います。

サークルに営業する人は確かにいますが、この「営業されること」を主眼に置くのは本が多く売れるより難しいです。

出張編集部に興味があるならサークル参加した方がいいです。整理券が無くなるのは早いです。

結局イベントに出る必要はあるのか

特に目的が無ければ、イベントに出なくても大勢には影響無い、という結論になってしまいました。
その時間を新規絵に費やした方がいいです。
イベント参加に宿泊が伴う場合は赤字どころか本1冊の全ての売り上げ全てが飛びます。
ひとり作家でサークル運営は本当に厳しいです。
私はそれを実感しています。。。

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