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知念 実希人 「屋上のテロリスト」 読書感想

こんにちは、ジニーです。

ちょっと間が空いてしまいましたが、10月最後の読書感想です。
今回は知念 実希人さんの「屋上のテロリスト」を読みました。

知念実希人さんと言えば、「仮面病棟」が映画化されたときに知りましたが実際に作品を読むのは初めてでした。
ちなみに、知念実希人さんの作品としてこの本を見つけたのではなく、カバーに目を引かれて、それが知念実希人さんの作品だったというパターンです。
いわゆるジャケ買いですね。

■本作はどんな小説?

本作は今の日本のパラレルワールドのような世界が舞台となっています。
第二次世界大戦での敗戦が遅れ、三つ目の核爆弾が落とされてしまいようやく降伏した日本が舞台となっています。

その日本はかつてのドイツのように東と西に分断され、社会主義を掲げる東。
資本主義を掲げる西。
長年東西日本の間では軋轢が消えずにある状態です。

■主人公は高校生!?

そんな状態の日本の西側のとある高校の屋上で、今まさに身を投げようとしているひとりの男子生徒がいます。
彼の名前は彰人。
「死」に魅了され、それを掴もうとしたその瞬間、様子を見ていた女子高生 沙希に止められ、なぜかバイトをしてみないかと誘われます。
そう、国を巻き込むテロリストのバイトを。

バイトはしょっぱなから現金輸送車の襲撃からはじまり、とんでもない兵器の購入、バイオテロなどとても高校生の起こす規模とは思えないものが続き、ビックリです!

何処か現代の世界情勢を反映しているかのような舞台設計の中女子高生が企てるテロが徐々に徐々に国全体を巻き込んでいく様は「そんなめちゃくちゃな!」なんて思ってしまいますが、裏の裏の裏をかいていく計画は、あっち行ったりこっち行ったりのジェットコースター的なエンターテイメント性があり、いつしか次を読みたい気持ちが押し寄せてきます。

■どんでん返しの要素もある面白さ

読み進めるうちに、
あの時のあの人はそういう役割だったのか!とか
内通者はこの人だったのか!とか
あの時の行動はこういう裏工作があったのか!とか
一筋縄に行かない真実が次から次に出てきて、読書があまり得意ではないという方にも楽しんで読んでもらえる作品じゃないかなと思います。

どんでん返しとは違いますが、主人公以外の登場人物にとあるおじいさんとその孫が出てくるのですが、この二人がとてもいい関係で、本作の中で一番好きな二人でした。
この二人の「粋」も感じてほしい!

■苦手なジャンルだったけど面白かった

いわゆるSFファンタジーというジャンルになるのかと思いますが、正直僕自身はSF作品はそこまで得意じゃなかったんですよね。
でも、市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」とか東野圭吾さんの「パラドックス13」とかでSF作品の面白さにようやく気付けたような気がします。

ジャケ買いで買ったと冒頭に言いましたが、カバーの絵から僕は勝手に学園ものの小説だと思っていましたが、まさかこんなに規模大きな話だとは思いませんでした。
これも小説の面白さですね、これからも好き嫌いをせずいろんな作品に触れていきたいと思います。

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