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高野和明 「グレイヴディッカー」 読書感想

おはようございます、ジニーです。

今回は高野和明さんの「グレイヴディッカー」です。
また読みました、高野和明さん。
本当に大好きな作家さんです。

今回読んだ「グレイヴディッカー」もずっと気になる作品でしたのでようやく読めたという感じでした。

本作は、スリラー小説というのかな、クライムミステリーというのか、細かなジャンルまではしっかりとわかりませんが、簡単に言うと主人公が事件に巻き込まれて、追い回される作品です。
高野さんのデビュー作でもある「ジェノサイド」も同様の息の詰まる作品でしたが、今回もそうです。

小説の紹介


主人公はヤクザの八神。
ただ何かの組同士の抗争に巻き込まれるというものではありません。
これまでの悪事から改心するために、骨髄ドナーとして移植を志願し
いよいよその移植を二日前に控えたところから目的も正体も不明な
組織に狙われ追い回されることになります。
果たして追いかけるものの正体は?
そして、八神は無事に骨髄移植を達成できるのか?

手に汗握る、スピード感ある展開


物語は、始まって間もなく、追い回される展開となります。
目的地は入院先の病院。

同じ都内の病院なんですけどね、全然たどり着かないんですよ。
追われてるので。
あちこち遠回りしながらも、追っ手と押し合いへし合いしながら、逃げて、逃げて、逃げて。
手に汗握る展開、そのためページをめくる手が全然止まりません。
物語が盛り上がれば盛り上がるほど次に進みたくて毎度のことですが、読者に読ませる筆力に関して、高野さんは本当にすごい!

作者の筆力の高さが物語を面白くさせる


読者にそうさせるのは、感情移入を上手にさせる手腕の高さもあると思います。
話の合間合間で主人公八神の過去や、なぜ悪事に手を染めるようになったのか、そして改心しようと考えたのか、そういったエピソードも織り込まれています。
そうすると、読み手としては主人公のキャラクターがより強く構築されていきまるで昔から知っていた人物のように愛着がわいていきます。

すると、彼が追いかけられると、まるで自分が追いかけられているかのように息が詰まるのを感じたり、ドキドキしたり。
藤原伊織さんの「テロリストのパラソル」も似たような作品ですが、この手の小説の面白さはこのスリリングな展開を読みながら味わえるところ、いわゆる疑似体験できるところのなのかもしれません。

ネタバレになるので、あまり細かくは言えませんが、とにかく面白い作品でした。
是非、まだ読んだことがない方にも手に取ってほしい小説です。

高野和明という小説家をきっと好きになってくれるのではないかと思います。

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