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イーグルスのX’masソング

 米西海岸を代表するロックバンド「イーグルス」。1977年にリリースされた「ホテル・カリフォルニア」はある時代の終焉を象徴的に歌い上げた傑作で、タイトル曲と同名のアルバムは大ヒットを記録した。
 このアルバムが売れに売れた後、イーグルスは何をしたらいいのか袋小路に入ってしまう。もうやれることはやり尽くしたのではないかと。次に『ロング・ラン』となるアルバムの制作はなかなか進まなかった。
 そんな折、78年の暮れにリリースされたのが彼ら初のクリスマス・ソング「二人だけのクリスマス」(Please come home for Christmas)だった。


 これは彼らのオリジナルではなく、1960年の米ブルース歌手チャールズ・ブラウンのカバーだった。当初チャートを上昇することはなかったが10年以上経った72年にナンバーワンとなる。
 ボーカルを務めたドン・ヘンリーが子供の頃にラジオで聴いて気に入っていたという。そしてミュージシャンにはよくあることだが、苦境にある時に自らのルーツに戻ってみるという、それではないかとも思える。
 イーグルスのカバーは米ビルボードのヒットチャートで最高18位を記録する。この曲の人気は根強く、2020~2021年のホリディシーズンの2021年1月初めには45位にまでチャートを上昇した。

 ベルが鳴って知らせてくれる そう悲しい悲しいニュースを
 何てクリスマス ブルースだなんて
 ぼくのかわいい娘は行ってしまった 友達もいない
 もう一回僕にお祝いの言葉をかけておくれ
 クリスマスの灯り クリスマス・キャロル
 家に帰ってきておくれ クリスマスだから
                 (拙訳)

 元ゴールデン・カップスのギタリストであるエディ藩さんは次のように解釈していたーーバンドマンにとってクリスマス・シーズンというのは稼ぎ時で家には帰れない。子どもが「パパ、クリスマスにはおうちにいてね」とたとえ言ったとしても首を振る。そんな悲哀を歌っているのだと。
 ブルース大好きバンドだったカップスのエディさんらしい。当然、チャールズ・ブラウンのナンバーもお気に入りだったのだろう。そう、イーグルスのドン・ヘンリーが愛聴していたように。
 

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