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原子力規制委2.21会見

 東京電力福島第一原発で2023年10月に発生した放射性物質を含む水が漏洩し作業員が被ばくした事故について、原子力規制員会の山中伸介委員長は2月21日に行われた定例会見で、「東電の作業計画、作業管理の不備が大きな原因と考えている」と話した。 
 事象自体は手順書の不備と現場作業員の管理不行き届きによるもので、廃炉の実施計画の「軽微な違反だった」とした。
 山中委員長は東電の保全部門と運転部門の間の連携が不足していたと東電から報告があったとし、「現場の作業員と東電職員との関わりがどうだったのかというのが非常に重要なポイントだと思う・・・私はもう少し原因について審査の中で深堀りしてもらいたいと思っている」。
 また、今年2月にも福島第一原発では汚染水の浄化装置建屋から放射性物質を含む水が漏れた。浄化装置の洗浄作業中に、作業員が建屋外壁に設置された排出口から水が漏れているのを発見。
 排出口下の土壌に水たまりがあり、沁み込んだ可能性があることから、当該部分の土壌は東電が全量回収し、建屋外への漏洩はなかったという。

東京電力福島第一原発

 今回の作業手順として、「実際は自動で水素を逃す弁がついているのにそれを使わず、手動弁でガスを逃す作業がなされていたようです」と述べ「どうして自動弁を使わなかったかはまだ不明です」と山中委員長。
 また、「内部の水素を外に逃がすためのベント(排出)口が開いているところに、弁が一つついていれば止まったと思っている」と述べた。
 「設備上の問題は今後見て行きたい」。
 福島第一原発で昨年秋と今月と汚染水処理にあたり水漏れ事故が続いたことから、斎藤健経済産業相は2月21日、東電の小早川智明社長に対して再発防止の徹底を指示した。
 一方、北陸電力志賀原発に影響を与えた能登半島地震に関連して、山中委員長は「海底付近での断層や(地盤の)隆起も含めて審査の中できちんと見て頂いているという理解です」と述べるにとどまった。
 震源から離れた断層が動いたことについては、「まだまだ今後の評価による」と話した。
 原子力規制委の技術情報研究会が2か月ないし3か月に一回開かれるが、その間に出てくるであろう専門的な知見が取り入れられるという。
 北電が断層について行った報告をいったんは規制委員会として了承していた点を問われ、山中委員長は志賀原発「敷地内の断層については評価したが、まだ審査が終了していない・・・海岸付近の断層についてもまだ審査中。今後の審査の中でみる必要があると思っている」と述べた。
 

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