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5・29原子力規制委会見

 原子力規制委員会は2024年5月29日(水)、来年運転開始から40年を迎える関西電力高浜原発3,4号機(福井県)について、60年までの運転延長を認可したが、同日の定例会見で山中伸介委員長にはこの認可についての質問が投げかけられた。
 使用済み核燃料の貯蔵プールがもうすぐ満杯になるというのに運転延長を認めるのはいかがかとの指摘に対して、山中委員長は「使用済み燃料の管理については事業者の責任で行ってもらうことだと考えています」という。
 「もし(関電が計画しており規制委に了承を求めている)乾式貯蔵なり、他のサイトに払い出しするかは事業者の判断で、所定の条件を満たしていなければ停止してもらうのが規制委員会の立場です」。
 それでは事業者任せではないかとの質問には「燃料管理については当然使用済み燃料についての施設を作るとかについては聴取しますが、運転延長(の認可申請の審査)の中に使用済み燃料云々は入っていないし、審査の対象にはしていない」と山中委員長は答えた。

関西電力高浜原発3,4号機


 山中委員長は今回の運転延長審査における特徴は、「圧力容器で・・・MOX燃料を使うので少し線量が上がるということとケーブルの問題。その2点については慎重に見られたと思っています」と話した。
 MOX燃料とは、ウランに使用済み核燃料を再処理して得られたプルトニウムを混ぜて作った燃料のこと。
 高浜原発の同じサイトに複数年数を経た原子炉があるリスクについて質問があった。山中委員長は「高経年化した原子炉特有の何かを持っているとは現時点では考えていません」と述べた。
 山中委員長はこの認可について必ずしも「例外的」でないとの認識を示した。記者から3.11後に「原発の稼働は原則40年で、延長して60年まで一回限り」と国会で議論された時、当時の野田佳彦首相が「極めて例外的なこと」だとした点についてどう思うか問われた。
 審査で高浜原発の原子炉8基すべてが運転延長を認められたことに関して、「(運転延長が)認可されたというのが実態であって、例外かどうかは別。我々規制当局としては基準に合っているかの審査を行う、それに尽きると思います」と山中委員長は述べた。
 また山中委員長は次のようにも話したー「例外的かどうかについてコメントすることないし、何か考えることもありません」。
 認可は7,8基目。高浜原発3,4号機は1985年に運転を開始した。関電は昨年4月に運転を60年まで延長できるように認可を申請していた。来年6月には60年超の運転を可能にする新制度が施行される。

福島第一原発の検査について指示
 また、福島第一原発の検査の在り方について山中委員長が指示を出したが、「新しい規制基準を導入する時議論があったのは、普通の発電所とは違うので非常に状況が複雑だということで、旧検査基準を残したのです」。
 さらに、「5年、6年経ってサイトの状況が変わってきているし、新しい検査制度の機能が発揮できるような、リスク情報が活かせるような、制度にしたほうがより良い検査が出来るのではないかとの私自身の認識で(原子力)規制庁のほうに私が投げかけたわけです」と話した。
 「現状では旧制度、新制度が二重になっている。(リスク情報を活かしてもらうことなどで)より効果的な管理が出来るようにしていったらどうかという、あくまでも提案です」。
 

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