見出し画像

原子力規制委1.31会見

 能登半島地震によって全国の原発に関して稼働を停止するなどの措置を求める声があると指摘された原子力規制委員会の山中伸介委員長はそのような措置を取る可能性を否定した。
 山中委員長は今回問題になっているのは自然災害対策であって原発の安全性ではないとの考え方を滲ませた。
 今回の地震によって原発に「特に安全上問題があったわけではない」と山中委員長は2024年1月31日(水)の定例記者会見で述べた。
 万一の場合の志賀原発周辺住民の屋内退避に関して家屋倒壊などで不可能になったり困難になる状況が生じたことについて、山中委員長は自然災害時の屋内退避ルール見直しは「検討課題になる」という。

屋内退避に関する原災対策指針見直しを否定
 現在の原子力災害対策指針(原災対策指針)では、事故発生時には原発から5キロ圏内の住民は避難を、5-30キロ圏内は屋内退避をするように定められている。
 今回の地震では志賀原発の30キロ圏内で多数の家屋が倒壊し、避難計画の基になるデータを取るモニタリングポストの不具合もあった。
 だが、山中委員長は「原災対策指針を見直すことはない」という。
 そのうえで自然災害時のルール見直しについて、山中委員長は「2月ぐらいまでに論点を整理出来たら、まず委員会の中で議論して、論点整理と進め方を話していくので、それほど時間はかからないと思う」と話した。


 一般国民からの公聴会の可能性について山中委員長は「一般住民へは規制庁がすでに説明しているが、対話の改善は今後考えていきたい」とした。
 志賀原発で非常用ディーゼル発電機が自動停止したことについて、山中委員長は「一種の人為的ミス」だとした。北陸電力の「検討不足、考察不足。電気系統をしっかり検討していれば防げた」と述べた。
 溶け落ちた燃料の固まりである「デブリ」の東京電力福島第一原発からの取り出しが3度目の延期となった。取り出しの工法についても予定されていたロボットアームが性能不足とされている。

デブリへのアクセス方法、困難さ
 これに関して山中委員長は「デブリそのものがどんなものか知ることは重要。デブリへのアクセスの方法、アクセスする困難さを知ることがまず大切ではないかと規制当局としては考えている」という。
 そうした基本的考え方を述べた後、「デブリ取り出しの時期や量に関してああしろこうしろと求める時期ではないと考えている。サイト全体、全体のリスクの低減していくことが重要だと考えている」と山中委員長はいう。
 「東電の責任でしっかり対応してほしい」。さらにはデブリ取り出しへのスケジュール感については「時期の重要性についてはそれほど感じていません。リスクマップについてはこれから議論しますが10年くらいのスパンで考えてリスク低減について提案していきたい」と述べるにとどまった。
 そして一人の科学者・技術者としての立場でと断ったうえで、山中委員長は「いかにデブリを完全に取り出して最後の保管容器まで持っていくかが重要。その一番の手始めでロボットアームが使えていないということ」と話した。さらに「高い放射線量でどう分析出来るか。インサイトつまり炉内での簡易分析が出来るように技術開発していかないといけない」とも述べた。
 デブリを取り出した後どうするのかを問われて、「規制当局としては10年間のリスク低減をまず見ていきたい。サイト全体でリスクを低減していく、その後の廃炉ということ」とした。
 福島第一原発の1号機から3号機までに推計で計880トンのデブリがあるとされる。東電は2023年度後半にデブリ採取に着手する予定だったが、2024年10月ごろに延期すると1月25日に発表していた。
 ロボットアームの性能に問題があり開発に時間がかかるため、別の工法に切り替えるという。

 

 
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?