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福島原発事故のツケは国民に

 2011年に起きた福島第一原発事故の損害賠償金のツケが被害者である国民に回されていることをご存じですか。
 本来は福島第一原発の事業者である東京電力、そして原発が国策だったことを考えれば政府が負担すべきものではないか。
 しかし、電気の送電料金に「福島原発事故の賠償費用」と「原発を廃炉にするための費用」が上乗せされている。
 送電(託送)料金というのは電気料金の30-40%を占めており、現在では電力会社と関係ない人も原発に反対の人も電気料金を払う人は有無を言わさずにみんな払わされているのだ。
 この上乗せは電気事業法では認められておらず、消費者に原発事故や廃炉の費用を、知らず知らずのうちに肩代わりさせる違法な取り決めだ。
 それを国会で審議もされずに経済産業省の委員会によって、反対意見が圧倒的に多いのにも関わらず、決定してしまった。
 この国の決定の取り消しを求める訴訟が福岡県で行われている。2020年10月15日、西日本で電気事業を営む小売り電力会社「グリーンコープでんき」が福岡地方裁判所に国を相手として「取り消し訴訟」を起こした。
 「賠償負担金」は、原子力損害の賠償のために備えておくべき費用であり、「廃炉円滑化負担金」も、原発の廃止のために必要な資金。
 また、「廃炉円滑化負担金」は、この先、どれだけの期間、どれくらいの額が電気代として徴収されるのか、電力会社と経産省の意のままだ。
 本来、両方とも原発事業者が負担すべきものなのに。
 「賠償負担金」及び「廃炉円滑化負担金」は、原発事業のための費用で、「一般送配電事業を営むための費用」ではない。
 万が一にも「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」は国民全体で負担すべきものならば、国会での審議を経て法律を作り、税金として徴収すべきだ。
 第1審判決は、2023年3月22日に原告の請求を棄却した。
 福岡地裁は原告適格は認めたが、2つの負担金(賠償負担金と廃炉円滑化負担金)は「公共のために電気利用者のすべてが負担するもの」であり、「経産省の認可処分は法律の委任の範囲内のもの」で違法でない、とした。
 原告のグリーンコープでんきはこの判決を承服することはできないと控訴。同年9月19日より福岡高裁で控訴審の審理が始まっている。
 静岡県でこの裁判を支援するグループは次のようにいう
 「電気は、経済的困難を抱えている人たちも使わないで暮らすことはできない不可欠な消費財です」。
 「その電気に、国会の審議を経ず、国民に知られないように、原発事故や廃炉の費用を上乗せして徴収し、東京電力の原発事故の後始末をしようとする国の不法認可処分を、裁判所がこのまま容認するならば、私たちは政府や官僚の無法政策に修正をかけられる術を無くしてしまいます」。


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