マガジンのカバー画像

単発の小説

61
単発の短編小説・ショートショートはこちらにまとめています。
運営しているクリエイター

#ショートショートnote杯

『最後の雨雲』

 ライトの光で道を照らし、集合場所へと向かう。道中で空を見上げると、雨雲が空を覆った。暗…

『君に贈る火星の』

『やあ、荷物は届いたかい?』 『ええ。これはワインかしら』 『火星産の特別なね。それで、前…

『数学ギョウザ』

「博士、今度の発明はなんでしょう」 「うむ。しばし待て」  そう告げると、博士はキッチン…

『金持ちジュリエット』

 ジュリエットはその町一番の、金持ちの家の生まれだった。彼女の周りには生まれる前から財、…

『アナログバイリンガル』

 最近、娘は謎の独り言を呟く。 「おはようウヨハオ今日は寒いねネイサナシウコッカイカタタ…

『違法の冷蔵庫』

「君達にはこの新型冷蔵庫を大阪支社まで運んでもらう。運び方は自由。費用はこちらで負担する…

『空飛ぶストレート』

 僕の胸に黒い羽が生えてきた。羽は重くて、痛くて、苦しい。僕は取りたくてたまらないのに、いくら抜いても黒い羽は生えてくる。  白い羽をつけた人が僕の横を通った。白い羽はとても軽そうで、心地良さそうだった。僕はどうしたら胸の羽が白くなるのか尋ねた。 「もっと気楽に楽しめばいいの。自分を最高だと思うの。もしくは、この道を進むのを辞めることね」  そう言って、僕の横を通り過ぎて行った。僕にはそんな考え方も、この道から外れることも出来そうにない。ただ一直線に、この道を進んで来たのだか

『コロコロ変わる名探偵』

「犯人はお前だ!」  そう言って、探偵はAを指さした。 「え?違う違う」 「犯人はお前だ!…

『株式会社リストラ』

 スーツ姿の男は礼儀正しく辞儀すると名刺を差し出した。 「『株式会社リストラ』。まさかう…

『しゃべるピアノ』

 児童施設にある古いピアノは生きている。  鍵盤蓋をカタカタと鳴らして、今日も子供たちに…