マガジンのカバー画像

単発の小説

69
単発の短編小説・ショートショートはこちらにまとめています。
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

『最後の雨雲』

 ライトの光で道を照らし、集合場所へと向かう。道中で空を見上げると、雨雲が空を覆った。暗…

15

『君に贈る火星の』

『やあ、荷物は届いたかい?』 『ええ。これはワインかしら』 『火星産の特別なね。それで、前…

19

『数学ギョウザ』

「博士、今度の発明はなんでしょう」 「うむ。しばし待て」  そう告げると、博士はキッチン…

14

『金持ちジュリエット』

 ジュリエットはその町一番の、金持ちの家の生まれだった。彼女の周りには生まれる前から財、…

15

『アナログバイリンガル』

 最近、娘は謎の独り言を呟く。 「おはようウヨハオ今日は寒いねネイサナシウコッカイカタタ…

20

『違法の冷蔵庫』

「君達にはこの新型冷蔵庫を大阪支社まで運んでもらう。運び方は自由。費用はこちらで負担する…

26

『空飛ぶストレート』

 僕の胸に黒い羽が生えてきた。羽は重くて、痛くて、苦しい。僕は取りたくてたまらないのに、いくら抜いても黒い羽は生えてくる。  白い羽をつけた人が僕の横を通った。白い羽はとても軽そうで、心地良さそうだった。僕はどうしたら胸の羽が白くなるのか尋ねた。 「もっと気楽に楽しめばいいの。自分を最高だと思うの。もしくは、この道を進むのを辞めることね」  そう言って、僕の横を通り過ぎて行った。僕にはそんな考え方も、この道から外れることも出来そうにない。ただ一直線に、この道を進んで来たのだか

『コロコロ変わる名探偵』

「犯人はお前だ!」  そう言って、探偵はAを指さした。 「え?違う違う」 「犯人はお前だ!…

16

『株式会社リストラ』

 スーツ姿の男は礼儀正しく辞儀すると名刺を差し出した。 「『株式会社リストラ』。まさかう…

15

『しゃべるピアノ』

 児童施設にある古いピアノは生きている。  鍵盤蓋をカタカタと鳴らして、今日も子供たちに…

20

『奇妙な旅人の記録』

 これは私が旅先で出会った、奇妙な旅人の記録である。  湖がある小さな村に立ち寄った時の…

18