【閲覧注意】私はアダルトチルドレン。 ①

私は、アダルトチルドレンだ。
両親から虐待されて15年間、耐え続けた。

警察にも児童相談所にも助けて貰えなかった、1人の少女の人生の話を聞いて欲しい。

私はあの家の、あの家族の、異常さを知らないまま生きてきた。
物心ついた時には既にゴミ屋敷で、普通に暮らしていた。

↓ 実際の写真である。【閲覧注意】

お風呂場。電気はつかない。


私は、これが普通だと思っていた。
足の踏み場のない部屋でも、私にとっては唯一の帰る場所だった。

お父さんから暴力を受けたこともあった。
機嫌を損ねると殴られる。
そんなこと当たり前の家だった。

寝ていると包丁やマヨネーズ、ドレッシング、お皿…
そこら中にあるもの全てを投げてくる。

こんな日常は普通のことだと、疑わなかった。

↓実際の写真。【閲覧注意】


洗面台。洗面台としては使われたことはない。

しかし、成長するにつれて異常さに気づいてくる。
友達との会話でのすれ違いが多くなった事で不思議に思い始めた。
そして決め手は友達の家に遊びに行ったことだった。

私の家は、おかしい……。異常だったんだ、そう気づいたのは小学生後半の事だった。


家が異常でおかしい、と感じ、すぐに思ったことは「先生に相談しよう」ということだった。

そして、翌日学校に行ってすぐ、相談しに行こうとした。
ただ、担任の先生と仲が良くなかった為、保健室の先生に相談することにした。

私は、たどたどしい説明で一生懸命先生に伝えた。
どんな説明をしたか、詳細に覚えてはいないがひたすら必死に伝えた。「助けて欲しい」と思って頼った。なのに…。

…先生は笑っていた。
ただ、ひたすらにウケていた。
私は、信じてもらえてないんだ。と感じた。

確かに、自分が教師で、生徒から「虐待されてるかも」なんて言われて信じるだろうか?
ましてや小学生の言うことなど信じるだろうか。

テレビで放送されるような、虐待が目の前の子に行われてるなんて思うだろうか?

きっと私は信じないだろう、と思った。
完全に信じない訳では無いが、半信半疑になるだろうと。

私は、この1件で大人を信じなくなった。
先生は言う。「何かあったら先生に言うんだよ。」と。

言ったところで信じないのなら言ってないのと変わらないだろう。

もう助けて貰えないんだ、と思った。
泣いてもどうにもならないと本能的に感じた私は、この日から感情を押し殺すようになった。


そんな辛い日々を過ごしていたある日。
父の機嫌が悪く、酷く殴られた。
殴られる、蹴られるなどはいつもと同じ。
でもこの日は押し倒されてハサミを突きつけられた。

流石にやばい、と感じて通報し警察官に来てもらった。
警察官が来るまでの時間がとても長く感じた。

父の機嫌は収まる事を知らず、ヒートアップしていく。
警察官が来るまでに殺されるんじゃないか。

きっと10分もかからず到着したであろう警察官。
体感時間は30分以上だった。

警察官の緊張感を持った顔と、何人もの頼もしい警察官を見た瞬間に
「あ、助かるんだ。」、「この異常さに気付かないわけが無い。」

そう思って、涙が溢れそうになった。

そして、警察官が父、母、私…ひとりひとりに事情を聞いていく。
足の踏み場もない異常な状態の家で、警察官はさも普通のように事情聴取をする。

しばらく事情を聞いたあと、警察官は言った。
「家庭の問題ですから、警察は介入できません。」

人は絶望すると、人形のように感情を失うんだと初めて知った。
膝から崩れ落ちるシールをドラマや漫画でよく見るが、現実でも本当にそうなるんだと、何故か冷静に分析した。


そして、足の踏み場を探しつつ家族に別れを告げ警察官は帰って行った。

いつの間にか涙は乾いていた。
期待するだけ無駄だと本気で思った。

この後も命の危険を感じる度、警察に通報したことは何度もあった。
助かると信じてではなく、警察が来てくれると警察がいる間のみ命が守られる。そう思ったからだった。

何度も通報して、色んな警察官が来てくれた。
どんなに夜中でも、サイレンを鳴らして駆けつけてくれた。

でも、助けてくれる警察官は居なかった。

毎回同じ流れで、「正義のヒーローが来たぜ!」という様な顔をして現れては事情聴取をするだけで、絶望させて帰っていく。

毎回私を絶望させる言葉は違った。

「まだ殺されてないし大丈夫じゃない?」
「こんなの虐待では無い」
「本当の虐待はもっと酷い」
「家庭内のことは家庭内で解決してください」

この他も沢山あったが全ての言葉に言えることは、
助ける気は無いということ。

当時はひとつひとつの言葉に傷つけられて悩んだ。

殺されてからでは遅いのでは無いのか?
虐待ではないと何を証拠に言えるのか?

虐待があると、確実に分かっていても介入しないのが正義なのか?

あきらかに異常な状態の家から逃げるように去っていく警官たち。
足の踏み場のないゴミ屋敷が見えてないかのように振る舞う。

私は、軽いうつ状態になった。


中学生になった頃、最後にもう一度だけ大人を信じてみようと思い立ち児童相談所に相談してみた。

児童相談所の担当者さんは事態を重く受け止め、直接会うことになった。

期待なんていうものはとっくに捨てたはずだったが、やはり会う日が近付いてくると期待が頭をよぎった。

ただ、警察でさえ動いてくれなかったから救われることは無いという前提で考えていた。

ついに当日を迎え、担当者さんと所長さんに会った。
今まで父にされてきた事、家の状態など、事細かに伝えた。

うまれてからずっと抱えてきた想いが溢れて、止めようとしても止められなかった。助けて欲しい。その一心で伝えた。

呼吸をするのも忘れて、1時間ほど必死に想いを伝えた。

溢れ出る想いが止まり出した頃、
目に涙を溜めていた所長が口を開いた。

「いや、虐待受けてるって聞いてたんですが…」

「思ったより元気そうで!笑」


そう、この人は泣いていたのではなく笑って涙を溜めていたのだ。

そりゃ期待してなかったけど、やはり裏切られた気分にはなるもんでとてもショックを受けた。

もう2度と大人は信じない。
誰にも助けて貰えない。

虐待は死なないと虐待だと思われない。

幼かった私はそう感じた。
今考えるとあまりにデカすぎる悩みを背負ってたと思う。

𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄

つづく

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