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「天然のものがイチバン」とは限らない

秋も深まってきて、身なりも寝具も冬支度が進んでいる今日このごろ。
ポカポカ陽気の昼の公園は、格別だ。

noteを書き始めてすぐのころ、気に入って買った靴は、その後ほぼ毎日、わたしの足を優しく包み込んでくれている。
なんとなく気分が上がらない日でも、この靴を履いた瞬間、ココロがふわわんと和らぐ。そのふっかふかな感触が履くたびに新鮮なのだ。

日々自転車に乗ることが多いので、結構手荒に履き続けているのだが、傷や汚れの一つもついていないし、シワもできていない。
撥水効果も抜群で、雨や勢いよく飛び出たアルコールがかかっても、シミにもならない…という優れモノ。

買う前にお店で履いた時、高級なスリッパみたいだなーって思った。
柔らかいし、丈夫そうには感じなかったので、長持ちはしないかもなと思いつつ、足が喜んでいると感じたから買ったのだが、これは思いのほか長年の相棒になりそうだ。

材質は、人工皮革。
合成皮革とは異なり、天然皮革とそっくりな組成になっているという。
そのため、履いているうちに足に馴染んで伸びるし、雨も弾くのだと、店員さんから聞いた。
そのため、ゆとりの少ないピッタリサイズをおススメされるまま、普段選ぶサイズよりワンサイズ小さめを選んだのも大正解。
ちょうどよくフィットして、長距離歩いても疲れない。
何しろ、わたしのココロが大絶賛している。

靴の自慢が今日の本題ではない。本題はここから。

この靴が気に入りすぎたことをきっかけに考えを巡らせたのが、「天然」VS「人工」

食べ物にしろ、服の素材にしろ、何かと天然モノが良しとされている風潮がある。

わたしもどちらかと言うと、何かにつけナチュラル系のものを選びがちだ。(敏感肌なことが大きな理由)

だが、どちらかに振り切ったり、対極の志向を否定するのには賛同できない。どちらにも一長一短あるのだから、ほどほどがいいと思っている。ニュートラルな感覚を持ち続けたい。

服の生地を選ぶときもそうだ。

わたしがオリジナル商品やじぶんの服を作る時、選ぶのは綿か麻か綿麻のものがほとんどなのだが、お客様からのオーダーの場合には、好みや希望を伺う。

たとえば、シワがつきにくくて、丸めてカバンに押し込んでもOKで、洗濯機で洗えて乾きやすいものがいいなら、ポリエステルなどの化繊系をオススメする。

敏感肌だったり、吸湿性の高いもの、着るほどに味わいの出てくる素材感が好みならば、綿や麻の天然繊維が向いている。チクチクザラザラするタイプの麻が苦手な人には、上質なリネン(麻にはたくさんの種類がある)か、やわらかな綿を選ぶ。

ここで余談をひとつ。アトピーには綿素材がいいとされているようだが、通常の綿は綿花を育てる過程で大量の農薬を散布されていて、その農薬が敏感な皮膚には良くないという落とし穴もあるそうだ。

ずいぶん前に何かで読んだ話では、世界中の農薬使用量の一番が綿花らしい。野菜や小麦を上回る量が必要なんだとか。だから、綿なら大丈夫とは言い切れないと。

ちなみに、麻の栽培には、農薬が要らないらしいので、その点では、麻は安心な素材だと思う。

ウール(羊毛)も天然繊維だが、これもまた人によって向き不向きがある素材だ。

暖かさは抜群だけど、毛の種類によってはチクチクしたり、ケモノ臭がすることもある。取り扱いについても、水で洗うと縮んでしまうため、洗濯機では洗えない。ぬるま湯(30℃)で手で押し洗いするか、ドライクリーニングに出す必要がある。

それを面倒に感じる人や、もっと手軽に扱えるものが良ければ、化学繊維や合成繊維でウールに似せたものの方が良い。ウールもどきの化繊(ポリエステル+レーヨン、アクリル等)のリスクとしては、ザラザラの細かい毛玉が出来やすいことだ。

服の素材の話が長くなったが、身につけるものにしろ、食べるものにしろ、見た目で区別がつかないほどのクオリティならば、天然とか人工とかにこだわらず、じぶんの使い勝手のいい方、気分が上がる方を選べばいいんだよなと、この靴を通して再確認したのだった。

どちらかに偏る志向も人それぞれでいい。ただ、それを絶対イチバン!と決めつけ、こだわり過ぎたり、人にも押し付けたりしてはいけないと思う。じぶんに合うもの、好きなものがたまたまソレ、ってことでいいと思う。

季節が変わったため、その靴も先週末からはショートブーツにバトンタッチした。このショートブーツも、5、6年間に渡り毎年冬の間毎日履いて、ボロボロになるまで履き潰したくらいお気に入りだったのと全く同じものをネット通販で見つけ、今シーズン買い替えたものだ。ちなみにそちらの素材は合成皮革。

履き心地は全然異なるが、これはこれで足が楽しんでいる。足元の冬支度は万端だ。

そして、今度の春には、あのふかふかが待っていてくれる。うれしい。


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