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朗読LIVE40 梅にうぐいす(後半)

「梅は年々新しい蕾を持つ、うぐいすは年毎に新しく生まれますよ」

確かにそうなのだ。そして、どの一輪も、どの1羽も同じではなく、朝に見た花は夕べには枯れ落ちているかもしれず、寝起きは調子っぱずれだった声が、お日様に温めて貰えばホケキョと響くようになるかもしれないのだ。

俳句や短歌という、限られた文字数での表現では、何を含め、何を削るか、一文字単位でうんうんと推敲することになる。どうしてもこれは外せない(外したくない)し、でも、こっちも、となって、結果ぼんやりとしたものになってしまったり、ありふれた言葉が並んでしまう。

それを超えられなければ、俳句や短歌を詠みます、なんて言ってはいけないような気分になつてしまって、どうにも居心地の悪い感じがあった。もちろん、賞を狙おうとか世に残る名句を、ということであれば、誰でも考える取り合わせじゃダメだろう(一番乗りは別として)。でも、目の前に、今この時にしか出会わない心揺さぶられるものがあったなら、堂々と詠めばいいじゃないか。それを誰かが陳腐だと思ったとしても、新しい蕾、新しく生まれた雛なんだから、と心の中で呟くことにしよう。と、ちょっと開き直ってみたりして。

それにしても、そういう話が料理の取り合わせと結びつくところが、さすが、魯山人先生なのである。でもやっぱり、「今までのやり古された真似ばかりでは困る」とはおっしゃっているのだけれど。

梅にうぐいす(後半) 北大路魯山人

朗読は2分ごろからです。

(予告よりさらに遅い始まりになってしまいました…。)


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